3日目 チチェンイツァ

本日はついに、世界一周婦人と俺にとって、最後にして最大のマヤ遺跡、チチェンイツァ!珍しく朝寝坊して、ギリギリセーフでバスに滑り込み、3時間かけて遺跡入り口へ。久しぶりの極寒冷凍バスで死ぬかと思った。

チチェンイツァに到着して、まずはイクキルというセノーテを訪れる。チチェンイツァの遺跡拝観とセットになってるツアーも多いので、日本人に最も有名なセノーテの一つだろう。
婦人と俺も、前々からイクキルのフォトジェニックな広告を見ていたので、相当期待していた。地上に丸くぽっかり開いた穴が、そのまま垂直に何十メートルも続き、ようやく水面へと届く。見上げれば、太陽光が差し込み、垂れ下がる蔓植物が何とも幻想的なムードを演出している。
が、しかし。その泉の中に入って見れば、水が濁っていて視界はわずか1〜2メートル程度。水中にはナマズが大量に泳いでいて不気味。なんだかカビ臭いし、洞窟内にはツバメがたくさん住んでるからきっとそのウン…ともかく、全くといっていいほど楽しめなかった。グランセノーテとドスオホスという2つの美しいセノーテを既に訪れた後だった、というのもあるだろうけれど、正直ガッカリ。
ちょっと辛口な評価が過ぎたかも知れない。しかし、もし誰かがメキシコに旅行に訪れて、ここイクキルのセノーテだけ見て、『セノーテってこの程度か。』と思って帰ったならとても悲しいこと。せっかくなら、本当に美しいクリアな水を楽しんでほしい。
ごくごく限られたこの日記の読者の中で、メキシコに行く人がいるとすればさらに限られてくる。限りなく単なる愚痴に近い注意喚起かもしれないけれど、もしかしたら誰かの役に立つかもしれない。読者の皆さんのため、セノーテのため、メキシコのためを願って、遠慮なく批判的に書いた。

そして、チチェンイツァ!

『チチェンイツァはピラミッドに登れないからイマイチ』なんて意見も聞いていたので、正直なところ期待値は低かった。ただ、これだけユカタン半島を巡っておいてチチェンイツァに行かないなんて、奈良に来て東大寺の大仏殿に行かないようなもの。飛ばすわけにはいかないから、一応行っとくか。という程度の気持ちだった。
しかし、今度は良い意味で期待を裏切られた。ピラミッドに登れないことを差し引いても余りある程の王者の風格。ツーリスティックで観光客があふれているのは喜ばしいことではないけれど、これだけの遺跡を独り占めしようなんて方が強欲に過ぎる。世界遺産は、美しく保ち、平等に公開するのが正解だろう。
エントランスから土産物屋の並ぶ森を通り抜けると、そこにあるのが例のピラミッド。今まで見てきたどのピラミッドよりも均整が取れている。正対して見れば美しい三角形、ぐるり一周してみれば美しい四角形。本当に手作り?有名な建築士の設計で、クレーンとかショベルとか重機を使ったんじゃないの?なんて思わず考えてしまうほど美しく、たとえ登れなくても十分に鑑賞の価値がある。
そのピラミッドの前で、ツアー団体がパンパンと手を叩いている。何してるのかな?と思ったら、実はピラミッドには巧妙な仕掛けがあって、手を叩く音がピラミッドに当たり跳ね返って反響するようになってる。しかも微かな反響ではなく、ビンビンに!思わず誰もが手を叩きたくなる。王を讃える式典なんかでは効果絶大だっただろうなと、婦人も俺も古代人の知恵と工夫と技術力に関心しきり。
その背後にある戦士の神殿も壮観だった。巨石を積み上げて造った柱がたくさん立っていて、千本柱の神殿とも呼ばれている。自分たちが巡ってきた他のマヤ遺跡では見たことがないタイプで、非常に新鮮だった。
そして、マヤ遺跡といえば定番なのが球技場。コパン以来見てきたこの球技場、実は遺跡によってそれぞれ大きさも違えば、形も少しずつ違う。コパンの遺跡の球技場は一対一の勝負なのかなというくらいにこじんまりとしていて、ゴールリングの前になだらかな坂が設けてあった。それに対してチチェンイツァの球技場は15対15くらいでやるの?というくらいに広大。しかもゴールリングは若干内側に反り返った壁の上で、現在のバスケットボールのリングよりも高い位置にポツンとある。あんなところまで重いゴムボールを蹴り上げるだけでも至難の技なのに、それをあの小さな穴に通せだなんて、相当訓練しなければできる技ではない。しかも勝者は、名誉なこととはいえ、生贄として殺されてしまう。ああ、俺は球技が下手で本当に良かった。
マヤ文明で統一したルールは、ウシュマルの日記に書いたように、ゴールとなるリングにゴムボールを通すと勝ち、というだけだったんだろう。都市対抗試合なんかがあったとしたら大変だったろうな、いちいちローカルルールの擦り合わせが必要だし、どう足掻いたところでアウェーのチームは圧倒的に不利だし。もっとも、これはゲームである以上に式典なので、公平な裁定だとかそういう発想は最初からないのかもしれないけれど。

また、チチェンイツァには新エリアと旧エリアの2つに分かれている。マヤ文明は暦に対して異常なほどこだわりを持っており、どういう周期かは分からないけれど、暦の関係で定期的に遷都を繰り返していたらしい。で、一度放棄した都市に再び戻ってきて新たな都市を建設したのが新チチェンイツァで、これまでに書いた内容。
旧チチェンイツァは、新チチェンイツァよりも300年以上も歴史を遡る。その300年の間に他の文明との交流などもあったらしく、影響や変化が見てわかり面白い。したがって、同じ場所にある同じ文明の遺跡にもかかわらず、損傷具合もはもちろんのこと装飾や建築様式も違い、まるで全く別の遺跡に訪れているよう。
簡単にその違いを言うならば、新チチェンイツァは戦士を崇め、ヘビのようなオドロオドロしい神を祀り、非常に好戦的で荒々しい雰囲気。それに対して旧チチェンイツァでは、主に祀られているのは雨神チャック、現存する建築は天文台や僧院など、平和的で素朴な雰囲気。同じ民族とは思えない程の違いで、実に興味深い。
旧チチェンイツァで特に婦人と俺が気に入ったのは、『カラコル』と呼ばれる天文台。自らの日記に『los caracoles』と名付けた我々にとっては、他人事ではない運命的なものを感じるし、それが天文台というのもロマンがあっていい(少なくとも便所や墓場でなくて安心した)。
まぁそれは、自分たちだからこそ見出してしまう偶然だけれど、基壇の上にある円形の建築が独特で、他とは違う調和があって、誰にでもオススメできるほどカッコよかった。

…と、なるべくシンプルな日記を心がけているにもかかわらず、これだけのボリュームになってしまった。ガイコツの祭壇とか、金星の祭壇とか、まだまだ素晴らしいものはたくさんあったけれど、すでに日記としてクドいから、書かないでおく。この文字量だけでも十分、いかにチチェンイツァに見所があるか表現できてると思うし。

ホステルに帰ったのは21時。遅い時間で既に多くのレストランが閉まっており、雨も降っていたので遠出する気も起こらない。仕方なく、ホステルの近くにある、いかにも欧米旅行者が好きそうな小洒落た(なおかつ高そうな)カフェレストランに入ると、予想に反してリーズナブル!しかも美味い!ボリューム満点でジューシーなハンバーガーとフライドチキンをいただいた。
こんなことならもっと頻繁に利用すれば良かった。しかし明日は早朝に、メキシコ最後の街カンクンへと移動。まぁ、十分すぎるほど楽しんだかな。アディオス、メリダ!

汚い水にがっかりしたイクキルセノーテ。シュノーケルマスクを携え万全の準備で行った自分達が恥ずかしい程。。

濁った水にがっかりしたセノーテイクキル。シュノーケルマスクを携え万全の準備で行った自分達が恥ずかしい程。。

ピラミッド

エルカスティージョと呼ばれるチチェンイツァのピラミッド。雄大な佇まい。

千本柱

千本柱の神殿。その規模には圧倒されます。

これまで訪れたどの球技場よりも大きく立派なチチェンイツァの球技場。取り囲む壁は音を逃がさぬよう内側に少し反っているという手の込んだもの。

これまで訪れたどの球技場よりも大きく立派なチチェンイツァの球技場。取り囲む壁は音を逃がさぬよう内側に少し反っているという手の込んだもの。

天文台。

旧チチェンイツァにある、カラコルと呼ばれる天文台。窓の方向が、方位とピッタリと一致し、マヤの天文学の高さが伺えるそう。建物としての美しさもあり、二人とも気に入る。

旧チチェンイツァにはウシュマルと同じプウク様式の建物があります。

旧チチェンイツァの僧院。ウシュマルと同じプウク様式の建物が残っています。

 

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