2日目 ビニャーレス!

ビニャーレス初日。本日は、英語の話せるガイドと共に、タバコ農家、国立公園内にある洞窟、コーヒー農家、ラグーン、展望台などを馬に乗って巡るツアーに参加。

8時半、カーサのご主人が紹介してくれたガイドが迎えに来てくれて、駐車場というのか、馬の待っている場所まで移動。
途上、ガイドから『昨日の夜、息子が熱を出して、病院へ行って、一睡も出来なかったんだ。』という話をされる。ふーん、それはお気の毒に。しかしなーんか嫌な予感。時間無制限ツアーだと言っていたのに、早めに切り上げようという魂胆なのか?まぁ単なる予感だろう。彼の話が本当だとしても、プロのガイドなら徹夜あけに半日のツアーへ行くくらい、赤子の手をひねるようなもんのはず。
駐馬場に着くと、三頭の貧相な馬と一人の男が待っている。
『紹介するよ、俺の兄弟なんだ。』なるほど、ガイドする人と馬を貸す人は別なわけね。キューバは共産主義国家だから、こんな小さな仕事でも利益が分散されるような仕組みになってるのかもしれない。
『馬はセミオートで歩くように仕込まれてるから安心して。』なるほど、乗馬なんて世界一周婦人も俺も当然初心者だから、それは助かる。えらく年を喰った馬なのは、老練のテクニックの持ち主だからってわけね。
『じゃあね、行ってらっしゃい!』なるほど、ってお前が行くんじゃないんかい!!

かくして、あの『息子が病気』談話は『ピンチヒッターがツアーに連れて行くよ』というストーリーの布石だったと判明し、ツアー開始。ただの馬主と思われた我々の新たなガイドはどうやら英語が話せないらしいけれど、今までも英語がダメなガイドも経験してきたし、フレンドリーで親切だったらそれで良いかなと気持ちを切り替える。

しかし、アンラッキーとは続くもの。
馬に揺られて15分も歩いたかどうか、目の前に広がる独特の景観を楽しんでいると、山の中腹で大きな炎が上がっている。お、焼畑農業してる!と思って馬上から写真を一枚パチリ…ん?焼畑っていうよりは火事みたいな燃え方…そういえば、周囲の民家の人々も外に出てその火を不安げに見つめていて、日常風景とはちょっと様子が違うような。
すると『ちょっと待ってて!』と言って、俺たちの馬主ガイドは馬を走らせ火の手の方に行ってしまう。やっぱりなんだか緊急事態な雰囲気。よく見ると、周囲の家の住民は、涙を流し嗚咽しながら炎を見つめている。こりゃどう考えても火事だ。後から後から集まってくる人々。白衣を着た医者も、炎の方へと走り去って行く。こりゃ一大事だ。死傷者多数なんだろうか?もしかして、ツアー中止?置き去りにされて、馬とともに文字通り野次馬するしかない婦人と俺。

20分程して『終わったよ。行こう。』と言いながら、沈んだ表情で帰ってくる馬主ガイド。ど、どうなったんだろうか、しかしこちらからは詳しく聞き出しにくい。すると、小さな声で馬主ガイドがつぶやく。『鶏小屋が燃えて鶏が50羽も死んだんだ。俺のもダメだったよ。』と。
…むう、こちらとしては鶏で良かったねと言いたいくらい。しかし彼のショックを察するに、日本人感覚でいうならば買ったばかりの最新型携帯電話が水没したとか、それくらいの雰囲気。
いや日本だったら、鶏が死のうが携帯が水没しようが、ツアーとは関係のないことで客の時間を割くなんてもっての外。クレームになるレベルだろう。しかし日本とキューバでは鶏一尾の価値がまるで違う。文化も違う。国家の掲げる主義も違う。まぁ自分達のツアーは時間無制限な訳だし、罪なくして焼け死んだ50羽の鶏に黙祷を捧げる。

そして、タバコ農家に到着。基本的には婦人も俺もノンスモーカー。しかし葉巻はキューバの主要産業。特に俺にとっては、ヘミングウェイやゲバラのように葉巻をくゆわすことがキューバでの目的でもあったので、とても楽しみにしていた。
タバコの葉っぱを乾かすための大きな三角屋根の倉庫内で、農家のおっさんから、タバコという植物をどうやって育てるか、収穫したあとはどうやって乾燥、熟成して、一本の葉巻に仕立てるか、一通り工程の説明を受ける。
『一本吸ってみるか?』とおっさんに言われて、勿論トライ。吸い口を切り落としてハチミツを塗るのがゲバラスタイルだという。それを口にくわえて先端に火を灯す。
これは…美味い。…美味いんだと思う。…どうやら美味いらしい。…というか初めて吸うのだから、美味いんだかどうだか全く分からない。おっさんいわく100パーセントナチュラル無添加葉巻らしいのだけれど、ケミカルな葉巻というのを吸ったことがないので、その有り難みが分からない。
『伝統的な葉巻はパイナップルの葉っぱで包んで保存するんだ。』と言って、どんと机の上に葉巻の束を乗せるおっさん。『ハバナで買う半額以下だよ。』そう、ここでついに本題の商談開始。
俺としてはこういう場合いつも、ボッタくられても面白いかな、笑い話として思い出になればいいな、と思うので、よっしゃ買う!と二つ返事したいのだけれど、騙されることが大嫌いな婦人は猛反対。買うだの買わないだの押し問答してると、見兼ねたおっさんが『もうちょっと安くするけど。』なんて、頼んでもないのにディスカウントしてくれる(ちなみに、こういうことはよくある)。それでもなお、買うだの買わないだの押し問答していたら、意外な人物からレフェリーストップが入る。

『時間がないからもう行くよ。』と言ってきたのは、なんと馬主ガイド。買いたい衝動に駆られていた俺にとっては、ある意味踏ん切りをつけるいい機会だった。しかし、婦人に対しては火に油を注いだようなもの。時間がないって、どういうこと?自分たちが頼んだのは時間無制限ツアーのはず。
今度は、婦人と馬主ガイドの押し問答が始まる。馬主ガイドはどうやら、自分たちがどんな内容でツアーを申し込んだのか全く説明されていなかったようで、一時間あたりの料金で行く通常ツアーのつもりだったらしい。
『タバコ農家と洞窟へ行けば時間いっぱいだよ。』『ラグーンや展望台へも行くって話だからツアーに申し込んだのに!』一歩も引き下がらない婦人。

俺は、オイシイ話すぎると最初から怪しんでいたし、馬に乗ってタバコ農家を見てついでに洞窟も行けたら十分目的達成だからそこそこ満足していたので、これは下手に踏み込んだら俺が火傷しかねない、火中の栗を拾うような真似はしないでおこう、と思っていたら『黙ってないで何とか言ってよ!』と、婦人から俺に火の粉が飛んできた。あちち!
そのあと、しぶしぶ馬主ガイドは洞窟と展望台に自分達を連れて行ったけれど、こちらも当然楽しくない。別れ際に再度一悶着してから、カーサに帰る。

これ以上ビニャーレスの村にいるだけでも気分が悪い、ということで3泊する予定だったカーサを一泊で引き払い、ハバナ行きのバスに飛び乗る。

ハバナに到着したのは夕暮れ前。急遽の予定変更なので、カーサも予約していない。とりあえず、初日にお世話になったカーサを訪ねると、空き部屋があり泊めてもらえることとなった。

夕食は、旧市街にあるチャイナタウンで中華料理を食べる。メニューは、チャーハンと、タンタン麺と、グアテマラあたりから婦人が熱望してきた餃子。これでようやく婦人の機嫌も上々に。

火事が起こって馬とともに野次馬と化す。

火事が起こって馬とともに野次馬と化す。

ビニャーレスはポッコリとした形の巨大な奇岩の丘が沢山ある公園で、世界遺産に登録されています。その中を馬の背に揺られてのんびりと進みます。

ビニャーレスはポッコリとした形の巨大な奇岩の丘が沢山ある公園で、世界遺産に登録されています。その中を馬の背に揺られてのんびりと進みます。

タバコ農家のおじさんが鮮やかな手つきでタバコの葉を巻いていきます。

タバコ農家のおじさんが鮮やかな手つきでタバコの葉を巻いていきます。

初めての葉巻。私自身良さがさっぱり分からず。

初めての葉巻。広志郎は気に入った様子。

タバコ農家以降は沸々とガイドに対して不信感が込み上げてきて、その後はさっぱりツアーを楽しめず。。

タバコ農家以降は沸々とガイドに対して不信感が込み上げてきて、その後はさっぱりツアーを楽しめず。。

ハバナの中華街にて食べた餃子で、元気を取り戻す。

ハバナの中華街にて食べた餃子で、ようやく元気を取り戻す。

 

 

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