2日目 サマリア渓谷トレッキング

早朝にホステルを出て、ハニヤの街の中心にあるバスターミナルへ。本日から、サマリア渓谷から海岸沿いを歩いてスファキアという街に抜ける2泊3日のトレッキング。

深酒、という訳ではないけれど、夜遅くにワインとアテを掻きこんだので、それはもう眠いこと。バスから見える風景も相当に風光明媚だったんだけど、ほとんど寝てたので覚えてない。
9時半ごろサマリア渓谷の入り口に到着。ベンチで『なんちゃってダコス(カリカリに乾燥したパンに、トマト、ヨーグルト、オレガノ、オリーブオイルをかける)』を朝食に作って食べてから、ついにトレッキング出発。
ここのトレッキングコースをオススメしてくれたのは、もちろんアテネのディミトリス。彼は今でこそアテネに住んでいるけれど、もともとの実家はここクレタ島にあるらしい。ロドス島からギリシャの旅を始め、テッサロニキまで北上しておきながら、ここでまたギリシャの南の端っこの島まで舞い戻ったのは、ひとえに彼の誘惑のおかげ。『料理も美味いし海も綺麗だし山も美しいし、クレタ島は最高だ!』なんて言いながら画像や動画を見せられては、もはやここに行かずして帰る訳にはいかないと完全に洗脳され、ドラゴンレイクから下山した直後にフライトを予約して、ついにここにたどり着いたという訳。
今回のトレッキング、今までの『登山』とは少し違う。なぜなら、谷を下り、海岸沿いを歩くルートだから。もちろん小さなアップダウンはあるけれど、出発地点の標高が最も高く、『下山』してる時間の方が圧倒的に長い。
ということも手伝ってだろう、普段はあまり山歩きなどしそうにない紳士淑女、小さな子供を連れた家族連れ、仕事はすでにリタイアされてると思しき年配の方々も数多く歩いてらっしゃる。
また、自分たちは好きでテントや食料を背負って2泊3日で歩くけれど、渓谷から海へ抜けた場所から船を利用すれば日帰りでハニヤの街に帰れるし、ホテルやレストランを利用して荷物を減らし我々と同じルートを歩くことも可能。
登山道の整備もされているし、途中に水場も多いから、初心者も安心。そんなこんなで、クレタ島のみならずギリシャ、ヨーロッパ全土で人気のコースなのだそう。
スタートから2時間ほどは、急峻な山肌をつづら折れに下り続ける。松などの針葉樹に囲まれた登山道は、眺望もないのでそれほど面白くはない。時々渡渉があるけれど、アドベンチャーを楽しむというよりは面倒くさい感じ。
『悪くはないけど、良くもないね。何ならスタート地点の景色が一番キレイだったね。』
『なんでだろう?日本に良く似た風景だから、僕らだけ、そんなに興奮しないのかな?』
『登るのは目標があるからいいけどね、あの一番高いところを目指すぞ!みたいな。でも今回はずっと下り坂だしね。』なんて、退屈気味に歩いていた。
しかし。スタートから約4時間、山裾を下りきって視界が開けた谷に出た時、そんな気だるい雰囲気は一変する。
『…すごい。』
2人で息を飲む。
さっきまで傍を歩いていた川を真ん中に、高さ100メートルを超えるくらいの岩壁が、まるでせめぎ合うようにそびえ立っている。この決して大きいとは言えない川が、長い年月をかけて岩を削り取り、この深い谷になったというんだろうか?たぶん、そうだろう。しかし目の前に広がる風景は、2つの巨大な山が互いに押し合いをして、たまたま出来たシワの上を水が流れ結果的に川となった、という風にしか見えない。
何度となく渡渉を繰り返しながら進む婦人と俺。さっきまでの退屈な渡渉とは、比べ物にならないほどの冒険感。今は雪解けの時期だから、水量が多いのかもしれない、時には飛び石が水面よりも下に沈んでいる場合もある。大股を開いてそっと沈んだ石の上に足を置き、素早く次の足を出して先へ進む。少しブーツに水が染みて冷たい。しかしそれもまた楽しい。
最大の見所はせめぎ合う岩壁の隙間が、およそ3メートルにまで狭まった場所。まるで神様が巨大な斧で岩を叩き割ったような、鋭く切れ落ちた岩と岩の隙間を、一点に集められた川の水がごうごうと音を立てて流れている。そこだけ極端に川幅が狭くなるので、人が歩けるような岩場はなく、簡易の木の橋が設けてあるんだけれど、それがまたスリリング。木と木の間から橋の下を流れる急流が丸見え。というか、木と木の間隔が広くてスリリング。いくら急流を見ながら歩くのが怖くても、ちゃんと足元を確認しないと足を踏み外してしまう。そもそも、橋の素材である木一本一本が細すぎてスリリング。どっかその辺で拾ってきただけ、みたいな素材で、ちゃんと足元を確認しながら歩いても、いつポキッと折れてしまうか分からない。
ドラゴンレイクに登った時もそう感じたのだけれど、ギリシャの自然は『谷』とか『崖』が素晴らしい。ギリシャといえば遺跡やエーゲ海を連想しがちで、『山』といってもピンとこない人が多いだろうし、事実自分たちもそうだった。しかしここ『サマリア渓谷』の景観は、南米パタゴニアに勝るとも劣らないユニークなもので、訪れる価値があると思った。
また、後で聞いた話では、ロッククライマーにとってもギリシャは知る人ぞ知る聖地なのだそう。自分たちは何一つクライミング用の装備を持ち歩いていないし、ロープを使ったクライミング技術は皆無。しかしこれほど岩場に恵まれているならば、装備を整え練習し、また来たいと思うほどだった。
17時ごろ、渓谷を抜けて海に出る(この、深い山から出るとすぐに海が広がる、というのもギリシャの自然が面白いところ)。
そこの港町からボートでハニヤへ帰る人もいるし、ホテルに泊まる人もいる。しかしもちろん自分たちはキャンプ。港町から約2時間歩いたところの、小さな教会があるビーチにテントを張る。もちろんこれも、ディミトリスのオススメスポット。
港町で買い足した野菜、オリーブオイルを使って夕食を食べ、白ワインを飲む。オリーブオイルと白ワインは、それを買った店のおっさんが自分で絞って作った、自家製だと言う。確かに新鮮で美味しい。
20時過ぎ、ピンクと青の美しいグラデーションの夕暮れに、オレンジ色のまん丸な月が昇る。最高に贅沢な瞬間。
最初はひたすら下り坂。

最初はひたすら下り坂。

サマリア渓谷で見つけた花。

サマリア渓谷で見つけた花。

サマリア渓谷にて。この渓谷の凄さが始まるのは後半以降。高い所は1000mを超える高い石壁が左右から迫ります。

サマリア渓谷にて。この渓谷の凄さが始まるのは後半以降。高い所は1000mを超える高い石壁が左右から迫ってきます。

途中川を何度も超えて。長旅で擦り減らし、穴も空いた靴に冷たい水が浸みてきます。

途中川を何度も超えて。長旅で擦り減らし、穴も空いた靴に冷たい水が浸みてきます。

私達に覆いかぶさるように、内側へ反り返った石壁。

私達に覆いかぶさるように、内側へ反り返った石壁。

渓谷内で最も幅の狭い部分は、橋を渡ります。

渓谷内で最も幅の狭い部分は、簡易の木の橋を渡ります。

作り方が適当。隙間からは決して緩やかではな

作り方が適当。木の間隔はマチマチ。隙間からは決して緩やかではない川、ゴーゴーと音を立てて流れます。

3mなので手が届く!…わけもなく。

3mなので手が届く!…わけもなく。

渓谷から出たすぐの所にある村にてオリーブオイルと白ワインを購入。店にいたおっちゃんが作ったものだそうな。

渓谷から出たすぐの所にある村にてオリーブオイルと白ワインを購入。店にいたおっちゃんが作ったものだそうな。

村から今夜泊まるビーチへ。歩くのは砂浜。3リットルの水に、オリーブオイルと白ワインが入った重い荷物。砂に足が食い込みます。

村から今夜泊まるビーチへ。歩くのは砂浜。3リットルの水に、オリーブオイルと白ワインが入った重い荷物。砂に足が食い込みます。

目的地に着いたのは

目的地に着いたのは7時頃。夕食の準備をしていると辺りが夕日で染まりピンク色に。

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