4日目 イミルシル

宿仲間のユミさんリサさんケンゴくん、それに世界一周婦人と俺の5人で遠足。イシルミルという町にある、ティスリとドゥルスリという夫婦湖を見に行く。
朝食のあと、ノリコさんを通じてチャーターしたタクシーが迎えに来る。キューバ並みのクラシックカー。ただし、メルセデス。内装がヒョウ柄、しかもヒョウの斑点模様なのではなく、ヒョウの肩から上が沢山描かれてる、という斬新なヒョウ柄で、ちょっと笑った。

日本なら運転手含めて5人用の座席に6人座る。婦人と俺が助手席に2人座って、いざ出発。トドラ渓谷を北へ北へと進み、徐々に標高を上げていく。グネグネと曲がりくねった地層がむき出しで、これぞアトラス山脈、といった景色をひた走る。裾野には、羊たちとノマドの人々。

時折、名前がないくらいの小さな村も通り過ぎる。日本人満載のタクシーなんて、相当珍しいんだろう。手を振ると、とても嬉しそうに笑顔を見せてくれる。特に子供は可愛らしい。モロッコに多く住んでいるベルベル人は、もともとモンゴルからやってきたらしい。何百年、もしかしたら何千年という時間を旅した人々だから、色んな種族の血がブレンドされているんだろう。見たところでも、ヨーロッパの白人っぽい人もいれば、アフリカやインドの人のようにとても黒い肌を持った人もいる。ノリコさんの話では、突然グリーンの瞳を持った子供が生まれてくることもあるという。なんともエキゾチック。
イミルシルの町に到着したのは12時半。そこから夫婦湖まではそう遠くないけれど、ちょうど良い時間だったので、お昼ご飯。ノリコさんの友人というアジジの店に入る。

メニューは、鶏肉のタジン。味は、まぁ美味しかった。肉はほろほろになるくらい柔らかかったし。特にパンは、焼きたてふかふかで、今まで食べた中で一番だった。

ただ、会計でトラブル。このレストランはノリコさんが事前に予約しておいてくれたんだけど、4人と勘違いして連絡していたらしい。で、アジジが持ってきた伝票は、確かに最初は4人分の計算になっていた。その時は、なるほど量が少なかったので、タジン4人分だったんだろうと納得。女子はみんなスレンダーだし、ノリコさんが気を利かしてくれたのかも知れないと思っていた。

しかし、帰ってきたお釣りが少なくて一悶着。さっきは4人分で計算してたくせに、どうやら5人分の計算になっている。いやいや、計算おかしいでしょ!計算が正しいなら、量がおかしいでしょ!と不信感がレッドゾーンに突入。結局、アジジがノリコさんに電話して、最初にアジジが出してきた4人分の計算式が間違ってたんだ、という説明で、こちらが引き下がる。
レストランを出て、タクシーに乗り込むと、なぜか一緒に乗り込んでくるアジジ。おいおい、なんでお前が来るんだよ!と白い目で見ていたら、『タクシードライバーは、ティスリにもドゥルスリにも初めてで、道がわからないから、俺が案内するよ!』とアジジ。嘘だ、ここから湖までそんなに遠くないはず。しかも、迷うほどたくさん交差点があるとも思えない!

『ホントなら60ディルハムもらうとこなんだぜ、でもノリコは友達だし、お客さんをうちの店に送ってくれるから、もちろん今回はタダさ!』

アジジは、狭い車内に渦巻く不信感を払拭しようと必死で弁解してるんだろうけれど、それがかえって雰囲気を悪くする。

10分もしないうちに、まず一つ目の湖、ティスリに到着。こんな近距離、誰が迷うか。途中に唯一あった標識にも『ティスリはこっち』って書いてあったし。

しかも、天気は悪いし、湖畔にゴミが散乱してるし、一同のガッカリ感が最高潮に達する。みんな、口には出さないけれど、これだけ時間と費用をかけてここまで来て…コレ?と、内心思っていただろう。

『…ここに長くいても仕方がない。次の湖に期待しよう!』誰が言い出す訳でもなく、しかし満場一致でタクシーに乗り込み、次なる湖のドゥルスリへと向かう。

現地の言葉だから分からないけれど、アジジがドライバーに、次は右だとか、そんな指示を出している。彼が案内役だということはウソではないらしい。まぁ迷うほどの道とは思えないし、後からチップとか請求されるんじゃないかという不信感は未だ拭いきれないけれど。

岩だらけのグレーな荒野をひた走り、緩やかな坂を上りきると、突如としてターコイズブルーの美しい湖が目に飛び込んでくる。『おおお!』下がりっぱなしだった一同のテンションが一気に上がる。これがディルスリか!

タクシーを降りて遠目から記念撮影したあと、湖畔まで歩いて行って、しばし思い思いの時間を過ごす。さっきのティスリとは比べ物にならないほどの、秘境の雰囲気。なんでこんなに青いんだろう?風が吹いているからだろうか?視界の大半が岩の世界だから、湖の青が際立って見えるのかも。対岸に、わずかに緑が見える。オアシスか?誰かが耕す畑だろうか。

辺りには、自分たち以外に人の気配はない。と思ったら、ノマドの子供が2人、石投げして遊んでいる!兄弟?友達?学校は?言葉も通じないけれど、しばし一緒に石投げを楽しむ。特に、彼らは帯のような石投げのための道具を器用に使っていた。湖に向かって遠投してたようだけれど、コントロールも巧みらしい。『バイバーイ!』と彼らに別れを告げて、湖畔からタクシーまで歩いていると、足元でガツッ、ガツッ、と石が跳ねる音がした。彼らがこちらに石を投げてるんだろう。餞別に…いや、攻撃されてる?
ともかく、美しい景観に一同満足し、タクシーに乗り込む。帰路、イシルミルでアジジを下ろす。結局、チップの要求などはなく、彼は善意で同行してくれたということが明らかになった。良い奴なら、計算が苦手なのと言い訳がましいのとで、かなり損してるぜ、アジジ。

途中、道間違いなどもあり、宿に到着したのは20時頃。湖も、道中のアトラス山脈の景観も、存分に満喫できた。長距離運転で、ドライバーはご苦労さまでした。ちなみに、これだけ走って給油はわずか一回のみ。ボロボロのベンツに定員オーバーの割には、意外と燃費が良いねと驚く。
本日も宿には新たな日本人。ケイくんとナオヤくん。夏野菜と鶏肉のカレーライスを食べながら、旅の情報交換。ロンドンでのチケン(治療研究の略?)やカタトゥンボの稲妻の話など。あと、ケンゴくんが働いてるドイツのレストランが、超高級だと判明したり、まだ大学生のナオヤくんのジェネレーションギャップをいじったりして盛り上がる。

我々の旅もそろそろ終盤に差し掛かっている。南米では縁がなかった『日本人宿』の楽しみを、ここに来て存分にエンジョイ。

今日はトドラ渓谷の先の先にある美しい湖へ。

今日はトドラ渓谷の先の先にある湖を目指して、今日はドライブです。

途中、小さな村をいくつか通り過ぎます。

途中、小さな村をいくつか通り過ぎます。茶色い大地に突然現れる緑。

狭い車内、激しい日差し、もうもうと立つ土ぼこり。

激しい日差し、もうもうと立つ土ぼこり。

延々と続く長閑な風景。

延々と続く長閑な風景。

3時間走って、丘を超えて、たどり着いたのは、茶色い山々に囲まれた蒼い湖。

3時間のドライブ、たどり着いたのは、茶色い山々に囲まれた蒼い湖。

入ってみると、水はかなり冷たい。

入ってみると、水はかなり冷たいです。ここイミルシルでは毎年9月にムッセムというお祭りが行われます。アトラス山脈に分かれて暮らすベルベル族が集まり、男女が出会うお祭り。この時ばかりはベルベル人の女性は美しく着飾るのだとか。

石を飛ばしたり。

でもお祭りの時期以外はとても静か。やることもないので、子供と石を飛ばしたり、湖の中に入ったり。

積みすぎトラック。

積みすぎトラック。

帰りに休憩した丘にて。

道中にあるカスバや、茶色い大地を歩く羊達とシェパード。魅力の詰まったアトラス山脈、次回はモロッコで登山もしてみたいです。

 

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