1日目 アルメニア入国

目を覚ませばすでに明るく、窓の外には雄大なコーカサスの風景が広がっている。

『ほら、ごらん。あれがアララト山だ。』

と、向かいのベッドで寝ていたおっちゃんが指差した。まるで富士山のような円錐型した美しい山が、大小二つ仲良く並んでいる。おっちゃんとは言葉の壁があってそれほどコミュニケーションを取れなかったんだけど、アララト山について語るおっちゃんの姿は、少し熱を帯びているように見えた。そして朝日に赤く染まるアララト山の勇姿を、おっちゃんは静かに見つめていた。

あれが、ノアの箱船が大洪水の末にたどり着いたというアララト山か。後で知ったことだけど、アルメニアには『アララト』という銘柄のタバコやお酒がある。現在はトルコ領内となっているみたいだけど、アルメニア人にとってアララト山は、単なる綺麗な山というだけではなく、心の拠り所でもあるらしい。
エレバンはテヘラン(イラン)への通過点くらいに考えていたので、駅から近くて安い民泊『リダの家』に泊めてもらうことにする。

荷物を置いて、まずはテヘラン行きのチケットを買いにバスターミナルへ歩いて行ってみる。

エレバンの街は、なんだか落ち着いた雰囲気。車もそんなに飛ばさないし、ゴミも不快なほどは落ちてない。同じコーカサス地方なおかつキリスト教のジョージアとは対照的だと思った。

あと、ちょうど新学期?新学年?が開始する日だったらしく、白い襟付きのシャツで小綺麗にした若い学生さん達が街中に溢れている。ここでも日本人は珍しいんだろう、何度か『ちょっと!一枚写真撮っていい?』と、興奮気味に話しかけられる。

バスターミナルに到着。チケットカウンターに問い合わせると、翌日発のバスは満席、明後日になるとのこと。滞在予定が1日伸びるけど仕方ない。
宿までバスで帰り、市場で買い物。昼食はピロシキとフルーツ。ピロシキは油ギットギトで美味しくなかった。フルーツは、モモとイチジク。こっちは安定した美味しさ。

1時間ほど昼寝してると、宿友のエマくんが帰ってくる。

『これから虐殺記念館行くんだけど、一緒に行きます?』

と誘ってもらい、一緒に行ってみることに。
虐殺記念館。なんとも物々しい名前。

日本ではあまり知られていないんだけど、今からちょうど100年前、トルコ人によって150万人ものアルメニア人が殺されたんだそう。

なぜそんな虐殺が起こったのか?つまり、第一次世界大戦前後、近代化に遅れをとりヨーロッパ各国から圧迫を受けていたトルコが、自国の弱体化の原因をアルメニア人のせいにして、抑圧したということらしい。民族粛清、宗教弾圧。ナチスによるユダヤ人虐殺と似ている。

弱い奴が、自分より弱い立場の人間を見つけていじめる。悲しいけど、普遍的な人間の性なんだろう。あの親切でフレンドリーなトルコの人々がそんなことしたとは信じがたい。そして自分にも、そんな狂気が潜んでいると思うとゾッとする。戦争や過度な競争が、そんな狂気を呼び覚ましてしまうんだろう。虐殺されるのも嫌だけど、虐殺するのも嫌だ。戦争反対!
宿に帰って、前述のエマくん、『坊や』テツくんと神楽のケイしゃんの長尾夫婦で、シェア飯。エレバンといえばザリガニ!身はあっさりしてるし、ちっちゃいから食べ応えはないんだけど、 パリパリ剥きながら食べると永遠に食べ続けられる、ヒマワリの種の甲殻類版みたいな感じ。アテとしてなかなか秀逸かも。ミソは案外濃厚。パスタと絡めたりパエリヤみたいにしたら面白かったんじゃないかな。ザリガニパスタ、ザリガニパエリヤ。機会があればやってみたい。

ちなみにここ『リダの家』は、日本人バックパッカーに有名な民泊。ジョージアでちょっと懲りてたパターンなんだけど、ここは大正解だった。Wi-Fiも、シャワーすらもない宿なんだけど、なーんか居心地が良い。もちろん、駅や市場に近くて、キッチンが使えて、とかそんな理由もある。でも、家の主人リダおばあちゃんの、つかず離れずでいて、さりげない優しさが心地よい。便宜上『宿』と書いてきたけど、商売っけは全くなく、本当にホームステイって感じ。ジョージアでは『やっぱり日本人宿はほどほどじゃないとね。』なんて言ってたんだけど、アルメニアでは大満足な婦人とおれなのであった。

朝日目覚めると、車窓からアララト山が見えました。

朝日目覚めると、車窓からアララト山が見えました。

白いシャツに、黒いスカートがこちらの制服スタイル。(男の子は白いシャツにデニム。)一緒に写真を撮ってもらいました。

白いシャツに、黒いスカートがこちらの制服のようです。(男の子は白いシャツにデニム。)

虐殺博物館へ行く道にあるポスター1。

虐殺記念館へ行く道にあるポスター1。奥に見えるのは虐殺の際にトルコ兵が使ったと言われる武器の剣や銃や斧、その武器で描かれるのは虐殺の年、1915。今年で百年を迎えます。

トルコ帽。黒い部分が虐殺された数、赤い部分が現在のアルメニア人の数を示す。『アルメニア人がいる限り、アルメニア虐殺の事実は消えない』

トルコ帽。黒い部分が虐殺された数、赤い部分が現在のアルメニア人の数を示す。『アルメニア人がいる限り、アルメニア虐殺の事実は消えない』

虐殺博物館は映像や写真、展示物を通じてその恐ろしさを伝えていました。博物館の横には記念碑があり、火が点されていました。

虐殺記念館は映像や写真、展示物を通じてその恐ろしさを伝えていました。博物館の横には記念碑があり、火が点されていました。

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アルメニアといえば、ザリガニ!

アルメニアといえば、ザリガニ!

たっぷりのお塩にローリエの葉を入れて、さくっと茹でて完成!

たっぷりのお塩にローリエの葉を入れて、さくっと茹でて完成!これが意外と美味しかったです。

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イランに入ると飲めなくなるのでと、ビールに赤ワインを囲んでリダの家の住人で深夜の1時までしっぽり飲みました。

イランに入ると飲めなくなるのでと、ビールに赤ワインを囲んでリダの家の住人で深夜の1時までしっぽり飲みました。

 

 

 

 

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4 thoughts on “1日目 アルメニア入国

  1. アララトの聖母っていう映画、数年前に見たのを思い出しました。虐殺の悲劇とアルメニアの母と息子を描いた一枚の絵についてのストーリーで、その絵はお母さんの両手だけ描かれていない・・すごく衝撃的でよく覚えてるわ。富士山によく似た山はアララト山の事やったんやね。なんか親しみ感じるわ。

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  2. りーちゃんと女の子達の笑顔がとても素敵ですね♡
    このお嬢さんの笑顔を見て…過去の悲しい戦争で犠牲になられた方々の事を忘れないで、立派な記念館を作って亡くなられた皆さんの魂の安らぎの場所を作ってるから、この国の安定があるんですね。

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    • コメントありがとうございます!アルメニアのことは、日本ではあまり話題になりませんが、世界には色んな悲しい歴史があります。

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