2日目 シャーチェラーグ廟

マリへとマリア母娘との出会いは、昨日のこと。
『ちょっとあなたたち、どこから来たの!?』
アリーエブネハムゼ聖廟への道中、横断歩道を渡っている時、ちょうど彼女らが車に乗っていて、我々に声をかけてきた。

そこから目的地までは遠くなかったんだけど、わずかな距離ながら車で送ってくれ、我々が日本から来た旅人であることなど、簡単な自己紹介をした。
『明日また、会いましょうよ、ランチでも一緒にいかが?14時にここで待ち合わせよ!』
と、マリへ。もちろん、こちらからお願いくらいの申し出に、世界一周婦人も俺も、大喜び。

毎日のように書くけど、イランの人々は本当に旅人に対して寛容。本当に無邪気というか、『何処の馬の骨とも分からない怪しい奴』みたいな感覚がない。

イスラム教の教えがそうさせるんだろうか?しかし、イスラム教に限らずどんな宗教でも、『困ってる人がいたら助けよう』みたいな教えくらいありそうなもの。やはり宗教よりも、広大で過酷な砂漠上のオアシスをつなぐ交易路という風土が人々をそうさせるんだと思う。島国日本では『小さな親切大きなお世話』なんて言ったりするけど、彼らにその意味を説明することなど不可能だろう。
てなわけで、14時までに行きたかったスポットを巡っておくことに。

まず朝一番7時に、シーラーズ観光のハイライトと言われるイスラム寺院、シャーチェラーグ廟へ。

入り口で簡単なボディチェックを受け、男女別々の門をくぐり、婦人はチャドルを着て中に入る。朝早いので人もまばら、とても静かで、厳かな雰囲気がより際立っている。

朝の光に照らされる、タマゴ型の屋根。遠目に見ても、繊細なタイル細工が施されているのが見てわかる。感覚的なことだけど、トルコやモロッコよりも、『イスラムっぽいな。』と感じる。

残念ながら、イスラム教徒でなければ建物の内部へ入れないという話。でも、どうなってるんだろう?ガイドブックには、昨日訪れたアリーエブネハムゼ聖廟と同じく鏡張りになっている、と書いてある。見てみたいなー、と物欲しそうな顔をして、入り口から内部を覗き込む。すると、一人の係員のおじさんが声をかけてきた。

『何処へいきたいんだ?』

『…中に?』

『よろしい。こっちへおいで。』

なんと、中に入れてくれた。イスラム教徒以外は入れないと聞いていた、シャーチェラーグ廟へ!

そりゃもう、圧巻の一言。基本的には昨日訪れたアリーエブネハムゼ聖廟と同じく鏡張りなんだけど、寺院の規模は数段上だし、鏡はより小さく繊細はデザインになっている感じ。一歩踏み出せば、いや、視線をわずか数ミリ動かすだけで建物全体がギラギラと輝く。堂内には神に祈りを捧げる多数の人々がいて、荘厳な雰囲気に拍車をかけている。

こんなところで、こんなこと聞いたら、気を悪くするんじゃないだろうか。しかし聞かなきゃ後悔する、と思い切って本題を切り出してみる。

『…写真撮ってもいい?』

『もちろん!私と一緒の場合は大丈夫だよ。』

意外にもあっさりオッケー。入堂すらかわないと思われた寺院で、まさかの撮影許可までもらえた!さすがに信者さんがお祈りしている姿とか、聖人の棺とか、そういう場面は遠慮したけれど、天井に壁にドアにと、シャッターを切りまくった。

一通り寺院を案内してもらった後、応接間みたいなところに通されて、ジュースをいただく。もちろんこのシャーチェラーグ廟自体も非凡な美しさだったけれど、一般旅行者である自分たちをまるでVIPのように待遇してくれたことに驚いた。

イランの人々は、どうやら自分たち(の国)が他の人(国)からどう思われてるか気にしているらしい。具体的に言えば、『アメリカから経済制裁を受けている=サダムフセイン、タリバン、アルカイダ、イスラム国と同類』みたいに思われてるんじゃないか、と。今回こうやってVIP待遇してもらえたのは、おそらくそういうマイナスイメージ払拭キャンペーンのためなのかもしれない。確かに、普通に日本で生活している限り、イランに対するポジティブな情報が入ってくることは少ないだろう。で、日本人はイスラム教に馴染みがないから、無意識のうちに過激派組織とそうでない普通の人々を関連づけてしまう人もいると思う。

自分たちは、これだけ歓迎してもらった訳だし、事前に旅人から聞いていた以上に素晴らしい国だと実感してるわけだから、何かイランのイメージ向上のお手伝いをできたらなぁと思う。
シャーチェラーグ廟を出て次に向かったのは、マスジェデナスィーロルモスク。ここは、ステンドグラスが美しい西側の礼拝堂が有名。

自分たちがここに到着したのは朝8時半頃。訪問するなら、堂内に光が差し込む朝、日が高くなってから行っても見所はない。

ただ、今回もまぁ綺麗だったけど、本来ならば秋分以降春分以前とか、日の出の時間が遅い時期の方が綺麗なんだと思う。一つは日照時間の関係。シーラーズの9月初めの日の出の時間は6時半くらいなんだけど、こちらのモスクの開館時間は8時。つまり、朝日が昇ったばかりの美しい光が堂内に差し込む時間は、もう過ぎ去ってしまっていた。日の出の時間が遅い時期の方が美しいだろう。そしてもう一つは暑さの関係。我々が訪れたこの時はまだまだ暑く、堂内を涼しく保つためにステンドグラスの半分に日差しを遮るカーテン?があった。なので、ステンドグラスから光が堂内に入ってくるのは半分だけで、美しさも半減。期待が大きかっただけにちょっと残念。まぁ、訪れる価値がなかった、というわけじゃないけど。
その後、市場をふらついて宿に戻り、荷物をまとめ、前日に見つけた今より環境の良い宿に引っ越し。
で、14時。アリーエブネハムゼ聖廟の前で、2人と落ち合う。

『イラン料理か、ピザとかハンバーガーとか、どっちが良い?』

『もちろんイラン料理で!』
車は少し郊外の方へと走り、レストランの前で止まる。階段を下り、地下になった店内に入ると、たくさんのお客さんが食事している。14時なのにこの繁盛ぶり、かなりの人気店に違いない、と思っていたら、日本のガイドブックにも掲載されている人気店だと後で知った。

シーラーズの郷土料理という肉団子入りのピラフと、肉とポテトとトマトと豆をくたくたになるまで炊いたディジィをいただく。それにここは、サラダバーつき。ギリシャで食べたザジキ(フレッシュハーブとキュウリをよーぐで和えたもの)そっくりなものがあって面白かった。

マリへやマリアと、どんな話をしたか?実はあんまり覚えてない。ペルシャ語で美味しいって何て言うの?とか、日本はどれくらいの人が住んでるの?とか、他愛もないような話。しかしそれが妙に盛り上がる。

店を出て、マリへのご主人が経営するクリニックを訪問。個人経営とは思えないくらい立派で、薬局、歯科医なども入っている。言われるがままに院内を見学。待合室で座る患者さんは、降って湧いたように現れたアジア人に目を丸くし、病院スタッフも色めきだっている。かつて東京の河川に突然アザラシが姿を見せ、周辺住民が『かわいい!』と大騒ぎした、みたいなニュースがあったけれど、似たようなものだろう。悪く言えば見せ物になってるわけだけど、皆さんにお喜びいただけるのであればこちらも光栄というもの。

『明日はどんな予定なの?』

『朝の早いうちにペルセポリスへ行って、夜行バスでヤズドに向かいます。』

『もしよかったら、出発前に明日も合わない?』

『こちらこそ喜んで!』
そんな感じでお別れし、ハーフェズ廟へ。ここは、イランでは有名な詩人のお墓がある場所。マリへたちのおススメということもあり、行ってみた。

シーラーズといえばコレ、といった感じの東屋(シーラーズの観光ポスターにもなっている)が見所。地元大学生の卒業式と重なったらしく、てっぺんが四角い帽子を空に放り投げて写真を撮ったりしてた。

で、このところお決まりになってきた、イラン人からの撮影ラッシュに巻き込まれる。入れ替わり立ち代り撮影依頼されると、さすがにちょっと面倒くさい。それに、イランの詩人のお墓でアジア人の写真を撮るって、それどうよ?と不条理も感じる。けどまぁ、両国の友好のため、親切にしてくれるイラン人にわずかでもお返しになれば、と思って笑顔を振りまく俺なのであった。

朝一番で訪れたシェーチェラーグ霊廟。

朝一番で訪れたシャーチェラーグ廟。

シャーチェラーグ廟の中心の庭へと繋がる門。

シャーチェラーグ廟の中心の庭へと繋がる門。

驚いたのはタイル。写真で分かるでしょうか。このタイル、絵柄が描かれたタイルを並べてあるのではありません。色ごとにタイルが分かれていて、それをパズルのように合わせて柄を作っています。同様のものはモロッコでも見ましたが、イランの方がより細かく、タイルとタイルの隙間が殆どありません。

写真で分かるでしょうか。このタイル、絵柄が描かれたタイルを並べてあるのではありません。色ごとにタイルが分かれていて、それをパズルのように組合わせて柄を作っています。同様のものはモロッコでも見ましたが、イランの方がより細かく、またタイルとタイルの隙間が殆どありません。

うっとり。

見事です。

シァーチェラーグには外国人観光客の担当をする専門の部署があり、私は女性に、広志郎は男性に案内してもらうことに。

シァーチェラーグには外国人観光客の担当をする専門の部署があり、案内して頂けることに。

中心の庭にあるドームの左右には塔が立っています。これはドームが人の頭、塔が人の手、全体をみると、人が天を仰ぎ祈っているようにみえるように作られているそうです。

他のモスクと同様、中心の庭にあるドームの左右には塔が立っています。ドームが人の頭、塔が人の手、全体をみると人が天を仰ぎ祈っているようにみえるように作られているそうです。

霊廟内。入口を入って最も手前の部屋は男女分かれた鏡張りの部屋になっていて、沢山の方がコーランを読んだり、霊廟に近づき祈りを捧げたりしていました。そこから更に奥の部屋には、より大きな鏡張りの広間が。高い天井には仄かに色ついた鏡を使って花模様が描かれています。

霊廟内。入口を入って最も手前の部屋は男女分かれた鏡張りの部屋になっていて、沢山の方がコーランを読んだり、霊廟に近づき祈りを捧げたりしていました。そこから更に奥の部屋には、より大きな鏡張りの広間が。高い天井には仄かに色ついた鏡を使って花模様が描かれています。

モスクにはステンドグラスがあります。建物内にステンドグラスグラスがあると虫がそこに集まり、人の周りには虫がよって来ないのだとか。

モスクは大抵壁の一部がステンドグラスになっています。ステンドグラスグラスがあると虫がそこに集まり、人の周りには虫がよって来ないのだとか。

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マスジェデ ナスィーロルモスク。

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ステンドグラスが有名なこのモスクですが、私が気に入ったのは中庭にあるタイル。

ステンドグラスが有名なこのモスクですが…

私が気に入ったのは中庭にあるタイル。

私が気に入ったのは中庭。

ここにはお花をモチーフにしたタイルがあり、色はブルーではなく黄色やピンク色と、いつものタイルとは一味違います。

ここにはお花をモチーフにしたタイルがあり、色はブルーではなく黄色やピンク色と、いつものタイルとは一味違います。

複雑な模様はズレなく完璧に繰り返され、

複雑な模様はズレなく完璧に繰り返され、

隙間無く、繊細で、美しく、

隙間無く、繊細で、美しく、

凹凸のある天井にも完璧に全てのピースが収まっています。

凹凸のある天井にも完璧に全てのピースが収まっています。

私達がエマム庭園へ歩いているときに声をかけてくれたマリヘ、マリア親子。お昼をご馳走になりました。

私達がエマム庭園へ歩いているときに声をかけてくれたマリヘ、マリア親子。お昼をご馳走になりました。

シラーズ

シラーズ名物のピラフは、羊の肉団子入り。ディルとにたハーブが入っていて爽やか、脂っこくなく美味しいです。

これはディジィと呼ばれるマッシュポテトとマッシュ豆に羊肉を合わせた料理。

これはディジィと呼ばれるマッシュポテトとマッシュ豆に羊肉を合わせた料理。調理時に出たスープと絡めて食べます。濃厚。マリヘ曰く『これを食べると凄くパワーが出るのよ』ペルシャ流スタミナ料理です。

ハーフェズ廟。

ハーフェズ廟。

今日も笑顔で写真応対。

やはりここでも、今日も笑顔で写真対応。

 

 

 

 

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