1日目 怒涛のトルクメニスタン、前編

本日はついにイランを出国し、トルクメニスタンへと向かう日。しかし我々の前には数多くの難関が立ち塞がっている。
まずは、大使館で無事にトルクメニスタンビザ発給を受けられるかどうか。もともと我々のビザは4日前に発給されているべきものなのに、祝祭日の関係でさらに2日も待たされることになった。そういうことは前もって分かってることなんだから、申請するときに調整しろっての。
さらに、通常であれば5日間の滞在が可能なトランジットビザなのに、上記の関係で3日間しかトルクメニスタン国内に滞在出来ない。色んな旅人のブログを見ても、やはり首都アシガバートで一泊、ダルヴァザのガスクレーター(通称『地獄の門』)付近で一泊はしている。場合によってはウズベキスタン国境の街ダショグスでも一泊。すなわち保険を含めて3泊4日は欲しいところなのに、我々に許されたのは最長で2泊3日。
しかも、2泊3日でトルクメニスタンを駆け抜けるには、最低でも今日中にイランを出てトルクメニスタンに入国するのが条件。しかし、マシュハドの街(正確にはトルクメニスタン大使館)から国境までは何度もタクシーやバスを乗り継ぎ、うまくいっても4時間はかかる。さらに、今回の国境はタイムリミットつき。トルクメニスタン時間の17時には国境閉鎖、イラン残留が決定してしまう。もしタクシーが運賃でグズったり、バスを乗り逃したりすると致命傷、その時点でゲームオーバーになりかねない。
要は、一刻の猶予もない、ということ。
朝、7時に起床。ホストの主人ジャヴァドを見送りたかったんだけど、我々が目を覚ました時にはもう、彼は職場へと向かっていた。

ソマイエ、エレナとともに朝食を食べると、いざトルクメ大使館に向けて出発。

『もしビザが下りなかったら、また連絡するわ!』

大使館前まで送ってくれたソマイエに別れを告げる。これが例えばイラン国内での移動だったり、飛行機やバスなど不確定要素が少ない移動だったりすれば、熱い抱擁を交わし涙ながらに別れを惜しむところなんだけと、今回ばかりはそんな心の余裕もない。

『やあ、よく来たね!』と、トルクメニスタン大使館前で我々を待ち受けていたのが、ベラルーシからのチャリダー(自転車で旅する旅人)のアレックス。彼とはマシュハドに到着した日、道端でぼーっと時間つぶししてる時に出会った。アレックスは英語もロシア語も堪能で、我々のビザ発給のためのやり取りを買って出てくれた。

『一応聞いてみたんだけど、ビザの日程変更はムリで、3日でトルクメニスタンを抜けなきゃいけないってさ。そのためには、全行程タクシーを使ってでも、いち早く国境に向かわないとダメだって。』とアレックス。

『やっぱりそうか。でもありがとう!』

『じゃあね、お互いいい旅を!』
アレックスと別れ、目指すは国境。まずはタクシーを捕まえバスターミナルへ。

マシュハドの街にはいくつかバスターミナルがあるんだけど、今回利用するのはメラージュ(meraj)という街の北東、やや郊外にあるもの。運ちゃんがちょっと勘違いして、南の近郊ターミナルで我々を下ろそうとし、こちらとしてはちょっと焦る。しかし近郊ターミナルからメラージュまで高速道路が走っており、スムーズに移動。

ターミナルから次に目指すは、国境に一番近い街クーチャン(guchan)。確か10時50分、到着と同時にバスが出発するという快挙!
クーチャン到着は13時半。バスを降りたら『バジギラン、バジギラン(国境の村)!』とタクシーの運ちゃんがむらがってくるんだけど、頼んでもないのに近寄ってくる輩は無視するのがセオリー。とりあえず近くのモスクでトイレを借りる。

で、日陰で昼寝してるタクシーに声をかけてみると、バジギランまでおよそ9ドル。さっきの輩は20ドルとか30ドルだったから、こんなもんならいいか、ということで手を打つ。本来この区間は地元民とタクシーをシェアしてもうちょい安く済むんだけど、国境越えを目指すには遅い時間だったからシェアする相手もおらずで仕方なし。
クーチャンからバジギランまで1時間で到着。

『ミスター!ボーダークローズ、ハリアップ!』

と、国境警備にあたっている兵士から檄が飛ぶ。時計を見ると15時、つまり国境閉鎖時間(イラン時間で15時半、トルクメニスタン時間で17時)が迫っている。こりゃやばい、でも走りたくても荷物が重くて走れない!

しかし、なんとか国境通過!第一関門クリア!

営業最終だったからか、職員さんみんなすでに退勤モードで、書類の記入とか荷物検査とかそれほど厳しくはなかった。ちなみに国境通過税?で1人11ドルの支払い。

さらに国境滑り込み特典がもう一つ。通常ならば、トルクメ国境から首都アシガバートまでタクシーを乗り継ぎ数十ドルの費用がかかってしまうんだけど、自分たちはなんとタダ!タクシーはすでに居なかったので職員専用バスに乗っけてもらい、マナト(トルクメ通貨)を持ってなかったから他の乗客が費用を肩代わりしてくれ、職員専用バスの後は偉いさんっぽい職員さんが自家用車で路線バスの乗り場まで送ってくれ、その上バス代相当の小銭をくれた。トルクメニスタン、みんなめっちゃ良い人達だらけじゃん!とちょっと感動。
ということで、無事に首都アシガバートに到着。時間にして19時、あたりはすでに暗くなり始めている。

普通の旅人は、ここで一泊しアシガバートの街並みを楽しんだりするんだけど、自分たちの行動はここでは終わらない。

まずは上記の通り、自分たちのビザは通常より2日も短く、時間的に余裕がないから。それに加えて、アシガバートで外国人が泊まれる宿は、南京虫と鼠の住みかとなっているくせに50ドルもするというホテルしかないので、できればここには泊まりたくないから。裕福な独裁国家の首都、アシガバートの街並みは実に興味深かったんだけど、我々は先を急ぐことにする。

鉄道駅の売店でドルをマナトに換金してもらい、歩いて市街北東のグンドガールバザールへ。普通はそこからダショグス行きの乗り合いタクシーに乗ってガスクレーター近くの村ダルヴァザで途中下車するんだけど、すでに20時、どうやらタクシーはもうないらしい。どうしよう、と立ち往生してると、地元のおっさんが世話を焼き、一台の車を停めてくれた。
なんか順風満帆なんじゃね?今日中にイランを出国できるかどうかも怪しかったのに、国境もアシガバートも無事に通過できた。しかも、ダショグス方面へ向かう車に乗っている。あとは、ダルヴァザで途中下車するだけじゃん?

なんて、そうは問屋がおろさなかった。自分たちが乗った車はどうやら単なるタクシーで、アシガバートのはるか北にあるバスターミナルまでしか行ってくれなかった(まぁ、そんなところにバスターミナルがあるなんて知らなかったから、新発見だったんだけど)。しかしすでに最終バスは出発済み。野宿にはうってつけの環境ではあったけど、できることなら今晩中にガスクレーターまで行ってその横で野宿したい。よし、んじゃヒッチハイクするか!ということで、ターミナルの向かいにあるガソリンスタンドへ向かう。

トルクメニスタンは、どうやらヒッチハイクが盛んな国らしい。ただし、無料ではない。そういう意味では、ヒッチハイクというよりカーシェアリングと言った方が正確か。ともかく、車は簡単に止まってくれる。

車を止めるのは簡単。難しいのは、意思の疎通。大抵のトルクメニスタン人は英語が話せない。身振り手振りで、ダルヴァザのガスクレーター横でテントを張るからそこまで連れてってくれ!と訴えるんだけど、ヒッチハイクした場所から車で5分と離れていない場所(どうやらそこが乗り合いタクシーの集まる場所らしい)で降ろされる。改めてヒッチハイクしなおし一台の車を止めても、いきなり車を路肩に停めて『23時までここで待つ!』と言いだす始末。

ちなみにどうやらこれ、検問対策だったみたい。カーシェアリングは違法タクシー扱いで取り締まりの対象となる模様。結局、23時になっても検問は終わらなかったので、農道みたいなオフロードを通って迂回し、検問を避けた。
『おい、起きろ!』

俺のと膝を叩くドライバー。婦人も俺も眠ってしまっていた。

『ダルヴァザだ。どこで降りるんだ?』

iPhoneの地図アプリを開くと、確かにダルヴァザまで来ている。やった!かなり頑張ったけど、目標地点までたどり着いたぞ!車内で小躍りする婦人と俺。

幹線道の脇にある茶店で車を降りる。時間にして深夜2時。(この茶店に荷物を預けていく、というのが常套手段なんだけど、盗難の話もあるので、自分たちは砂漠の真ん中にある線路脇にデポ。これなら後からでも探しやすいし、盗難茶屋に置いておくよりは安全かと。)

ここからガスクレーターまでは、砂漠をひたすら東に向かって歩くことおよそ1時間半。月明かりのおかげでヘッドライトも要らないくらい明るい。季節柄、暑くも寒くもないから歩きやすい。
そして。
ついに、ついに、ついに。
ガスクレーター到着!
長くなりすぎたので、続きは明日の日記に。

クーチャンから国境まではトドラ渓谷のような景観の中を走ります。ちなみに私達、国境から1kmほど手前の門にて下ろされ、国境まで歩くことに。。イランとトルクメニスタンの国境は丘の上にあります。旅人の皆さん、手前で下ろされないように気をつけて下さい。

クーチャンから国境まではトドラ渓谷のような景観の中を走ります。ちなみに私達、国境から1kmほど手前の門にて下ろされ、国境まで歩くことに。。イランとトルクメニスタンの国境は丘の上にあります。旅人の皆さん、手前で下ろされないように気をつけて下さい。

通過しただけのアシガバード。整頓された町並み、白い大理石で立てられた巨大な建造物、そこを歩くはカラフルな民族衣装を着たトルクメニスタンの女性達。別の国に来たんだと実感します。

通過しただけのアシガバード。整頓された町並み、白い大理石で立てられた巨大な建造物、そこを歩くはカラフルな民族衣装を着たトルクメニスタンの女性達。別の国に来たんだと実感します。

Advertisements

2 thoughts on “1日目 怒涛のトルクメニスタン、前編

  1. ハラハラドキドキ…
    心臓に悪いよ(笑)
    無事国境を越えられたのね。。
    良かった…
    とても良い方々に出会えてと感謝ですね。
    次なる出会いは…又ドキドキしてきた。。

    Like

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s