旨酒備忘録11シルクロード編その2

ご当地のお酒から旅の思い出を振り返る『旨酒備忘録』。第11回は、シルクロード編の後半、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、中国のカシュガルから西安を振り返ります。
トルクメニスタン
話せば長くなる諸々の理由でわずか一泊二日、それも荒野で2〜3時間野垂れ眠るだけ、という強行軍で駆け抜けたトルクメニスタン。旅人らしいことしたのも、ガスクレーターだけ。まぁそれは見応えありましたけど。お酒を楽しむどころか、ゆっくりご当地料理を楽しむ機会もわずか一度しかありませんでした。
ただ、そのわずか一回が印象深かった。我々がヒッチハイクに成功したトラックのドライバーはロシア系で、英語も多少は話せる。トルクメニスタンのことについて色々教えてもらいながら食べるマンティ(蒸し餃子)は最高に美味しかったです。ちなみにマンティ、中央アジアで最もポピュラーな料理の一つで、どこででも食べれる、というかメニューのバラエティの少なさから数日には一度ローテーションが回ってきて、ウンザリしてても食べざるを得ないくらいの存在なんですが、トルクメニスタンで食べたマンティだけは何度でも食べたいレベルでした。まるで551の豚まんやシュウマイみたいなフレイヴァ、初マンティだったこととか、ろくなメシを食ってなかったことによる加点を差し引いても断然一位。正直に言えば、ここで食べたマンティ以外は肉がケチケチしててそーんなに美味くなかったです。まぁ、トルクメニスタンのマンティが美味いのか、それともトラック野郎のみぞ知る名店だったのかは、我々には判断できませんが。
イランを出てトルクメニスタンに入った時の衝撃は、食だけではありませんでした。イミグレの職員さん、軍人さん、みんな一気に親しみやすいアジア顏になり、やっぱ国境ってあるんだなーと実感しました。ちなみに自分的には、チベット系っぽく感じました。肌の色が浅黒くて。
あと、上記のトラック野郎から聞いた話ですが、トルクメニスタンは多民族国家であるため、イスラム教徒が多数の国ながらお酒も、なんと豚肉も食べられるんだとか。結構、こっそりお酒を飲んでる人はいるんですよね、イランでも。しかし、豚肉に対するタブー感は強く、『豚肉が美味い』って話をするだけでも一瞬表情が固まるほどでした。それを考えると、やっぱ国境の存在って大きいですね。
まともに観光しようとすると法外な費用を求められるトルクメニスタン。ビザとか手続き関係も何かと面倒な国ですが、そーゆー問題が何もなければ、ぜひもう一度行きたい。中央アジアの北朝鮮なんて呼ばれたりもする独裁国家だけど、別に貧しいわけではなさそうだし、治安も悪くない感じ。人も親切だし。なので次はぜひ、首都アシュガバードをゆっくり歩きたい。白くて綺麗で無駄に広い道路の街は、まさに唯一無二。アシュガバードの写真はバスの車窓から一枚撮っただけ。あの不思議な景色をお届けできなかったのが残念です。

中央アジア入って初めてのお昼ご飯。これはマンティと呼ばれる肉まん。かぶりついて驚き、懐かしの551の蓬莱の味です。こちらの人はこれにスパイシーなケチャップをつけて食べます。

中央アジア入って初めてのお昼ご飯。これはマンティと呼ばれる肉まん。かぶりついて驚き、懐かしの551の蓬莱の味です。こちらの人はこれにスパイシーなケチャップをつけて食べます。

 
ウズベキスタン
ということで到着したのがウズベキスタン。疲れ切った我々を迎えてくれたのが、旧ソビエト圏名物、ペットボトルビール。アルメニア以来に飲むビールは、何とも言えない味わい深さでした。
旧ソビエト圏のお酒といえばもう一つ、忘れたくても忘れられないのがウォッカ。ヒヴァの町にあるレストランで食事をしてると、気さくな地元民のおっちゃんが一杯二杯と茶碗に注いで飲ませてくれました。優しいなぁ。と思いつつ、深酒すると取り返しのつかないことになるので、上手いこと退散したんですけどね。
トルクメニスタンでもそうだったんですが、アジアに帰ってきたのを実感したことがもう一つ。お茶です。トルコやイランでは、くびれのついたガラスのコップで砂糖をたっぷり使い甘くしてお茶を飲むんですが、中央アジアでは陶器の茶碗、砂糖も何にも入れず、ストレートで飲みます。もう、『ホッ』とすることこの上なし。
シルクロードの西ターミナルがイスタンブール、東ターミナルが西安とすればハブステーションにあたるのがウズベキスタンにあるサマルカンド、と言えるでしょう。トルクメニスタンでアジアっぽくなった人々の顔つきは、ウズベキスタンに入ってまた彫りが深く濃い顏に戻るんですが、南はインド、北はロシアに交易路が通じていたためじゃないかと思います。
その割に食のバリエーションは、お粗末と言わざるをえません。中央アジア風うどんのラグマン、プロフ(炊き込みご飯)、どちらも初めて食べた時は感動したものですが、毎日どちらかは必ず食べるって頻度でローテーションが巡ってくるから、さすがに飽きます。や、本当はもっと色んな地元料理があるんでしょうけど、レストランに行ってメニューを見ても、無い無い尽くしで結局『今出せる料理はラグマン、プロフ、マンティだけ』みたいになるんですよね、なぜか。残念です。
ウズベキスタン観光においてサマルカンドは外せないでしょう。しかし、自分たちが一番気に入ったのはヒヴァ。こじんまりしてる分、見所がぎゅっと詰まってて、それでいて観光客は多くないし、客引きもしつこくない。とても居心地がいい場所でした。
もし次の機会があれば、テルメズというアフガニスタンとの国境にある町に行ってみたいですね。ここ、お釈迦様が悟りを開き広めた教えが、宗教、教団として組織化された場所なんだそうです。なので日本の仏教関係者や発掘調査団なんかが結構訪れてるという話。知らないうちに、色んなところに行ってるもんだなー日本人。と感心しました。

ウズベキスタン料理といえばラグマン。ラグマンはうどんに似た麺料理で、地方によってスープの味が異なります。ヒヴァで食べたラグマンは、カレーに似た味。そう、カレーうどんにそっくりです。

ウズベキスタン料理といえばラグマン。ラグマンはうどんに似た麺料理で、地方によってスープの味が異なります。ヒヴァで食べたラグマンは、カレーに似た味。そう、カレーうどんにそっくりです。

極めつけは、一ヶ月ぶりのビール!アジアに入ったことを感じさせる食べ物、そしてビールに満足して眠りについたのでした。

極めつけは、一ヶ月ぶりのビール!アジアに入ったことを感じさせる食べ物、そしてビールに満足して眠りについたのでした。

キルギス
中央アジア各国には砂漠とかイスラム教とかいった共通項があるあるんですが、そういう意味でキルギスはちょっと特殊でした。高原だし、イスラム色もそんなに強くないし。その代わりに色濃くなるのが、遊牧民色。人々の顔つきは、ここに来てまた一層アジアっぽくなります。イミグレ職員のにーちゃんも、『あれ?高校時代、野球部だった…高橋くん?』みたいな感じ。さらに、民族帽子も変わってる。フェルトでできてて、コックさんみたいに高さがある。ウズベキスタンとか、後に行くカシュガルみたいな角帽とも違って、イスラム教徒の帽子という感じは全くない。正しいかどうか分からないけれど、『仏教徒じゃないモンゴル人』みたいイメージ。
本当はガッツリ長居する予定だったんです、キルギス。物価も安いし、あっちこっちでトレッキングしたり、遊牧民の住むユルタ(移動式住居、モンゴルでいうゲル)でホームステイしつつ乗馬、んなこともしてみたかったんです。
しかし我々が到着した時、キルギスはすでに秋深し、標高の関係で、ウズベキスタンとは比べものにならないほど寒い季節に、すでに突入してたんです。おかげで、マズいという噂ながらも飲んでみたかった『馬乳酒(読んで字のごとく、馬のミルクから作ったお酒)』も飲み逃してしまいました。残念。
ただ、できる限りのことはやった、という達成感はあります。ピッケルとクランポンが欲しいくらいの雪の壁を登って見たアラコルの青い湖、冷え切った体を温めてくれた自分史上最高の温泉アルティンアラシャン。あと、南旅館での沈没生活。獄長F氏の繰り出す極上料理の数々。もつ鍋やらカレーやら、中央アジア料理にも飽きたころだったので、婦人も俺も毎日うなり声をあげながら喜んで食べてました。
次はどこ、というより、春とか夏に来たいですね。どこまでも連なる丘が緑に染まる、そんなキルギスを見てみたいです。

1時間の雪壁との格闘の後にたどり着いたカラコル湖。いやぁ、私達やりました!

1時間の雪壁との格闘の後にたどり着いたカラコル湖。いやぁ、私達やりました!

アラシャントラベルは風呂桶が二つ。右手の桶はタイル張りでお湯は熱め、左手はコンクリート桶でお湯は少しぬるめ。右手の方をオススメします。(夏入ると右手は熱すぎて入れないという人もいました。)

アラシャントラベルは風呂桶が二つ。右手の桶はタイル張りでお湯は熱め、左手はコンクリート桶でお湯は少しぬるめ。右手の方をオススメします。

 

見よ、このトロトロに煮えた豚を。またその旨味を吸った大根の美味しいこと。アルメニア以来2ヶ月ぶりの豚肉。

見よ、このトロトロに煮えた豚を。またその旨味を吸った大根の美味しいこと。アルメニア以来2ヶ月ぶりの豚肉。南旅館のシェア飯、最高です。

広志郎が闘病中、毎日食べたイチゴタルト。タルトは白チョコでコーティングされていてサクサク、小粒のイチゴはとっても甘くて、中に入った甘さ控えめのカスタードクリームとよく合います。

キルギスといえば、忘れちゃいけないのがケーキ。毎日食べたイチゴタルト。タルトは白チョコでコーティングされていてサクサク、小粒のイチゴはとっても甘くて、中に入った甘さ控えめのカスタードクリームとよく合います。

 
中国(カシュガル〜西安)
ついにシルクロード編のクライマックス、中国にやってきた時はさすがに感慨深いものがありました。特に、道路標識に並ぶ漢字を見たなんか、懐かしいとすら思いましたよ、まだ日本じゃないのに。
ただ、一口に中国といってもカシュガルやトルファンはまだイスラム教の文化圏、人々の顔つきは、日本人がイメージする中国人というよりむしろウズベキスタン人に近かった。まぁもとは別の国だったからでしょうね。
新疆ウイグル自治区は、食に関しても当然イスラム文化圏。豚は食べずにひつじを食べる。お酒は飲まない。にもかかわらず、他のイスラム教国とは一線を画す料理の旨さ!中華料理の影響の産物なんだと思います。4000年の歴史はダテじゃない。
トルファンから西、特に新疆を抜けてしまうと、同じイスラム教徒ながら、回族という別民族が多くなります。回族の人々は、見た目ほぼ漢民族。つまり我々日本人ともほとんど変わりません。というか自分的には『回族=イスラム教徒の漢民族』という風に思っています。で、回族が作る料理は彼らの見た目と同じで、『イスラム教徒に対応した中華料理』って感じでした。豚肉を使わないとか食材に下味をつけるのにお酒を使わないとか、そんな特徴はあるんですが、たぶん大抵の日本人は、何も知らずに出されると、『あ、中華料理。』って思ってペロリと食べると思います。
カシュガルから西安の間で、強いて代表料理を挙げるなら、『ダーバンジー(大盤鳥)』と『ビャンビャンメン(ビャン、にも漢字があるんですが、変換不能です。メンは面、麺のことです)』でしょう。簡単に言えばダーバンジーは、鶏肉、ジャガイモなどをスパイスとともに炒め煮した料理。ビャンビャンメンは文字通り『ビャンビャン』と伸ばした麺にラー油っぽいソースを絡めて食べる料理です。ウイグル人や回族による料理は、現在中国でブームになっているみたいで、確かに個性的で美味しかった。
いろいろ食べた中で自分が気に入ったのは、カシュガルの屋台料理ですかね。ごうごうと燃える炭火で炙られた、鴨肉のシャシリク(串焼き)におでん、美味かったなぁ。中央アジアで食べ飽きていたラグマン(ここではラグメンという呼び名に変わり、発音がより『ラーメン』に近くなる)やプロフも、一味違って感じました。
で、やっと本題お酒の話しなんですが、意外や意外、中国人ってあんまりお酒を飲まないんです。イスラム教徒じゃなくても、イスラム教色の全くないレストランでも、みんな『ビール?そんなの無理して飲まなくていいよ、仕事じゃないんだから!』というノリ。嗜好品というよりは、大人の社交道具みたいな扱いです。えー!こんなにビールが進む料理を前に、飲まなくていいの?!としばしば驚かされました。で、いい歳した大人が甘い豆乳とか飲むんです。ちょっと笑えます。
ビザの関係で、かなり早足で進んだんですが、ウイグルは是非また行きたいって思います。特別コレといった観光スポットはないんですが、街全体が独特な雰囲気で楽しかったです。ホータンとかクチャとか、よりディープなウイグル文化を体験しに行ってみたいです。
ちなみに、敦煌の莫高窟とか、張掖の丹霞地形とか、西安の兵馬俑とか、入場料が結構高いし、『期待して行ったら残念な感じだった』みたいな話も聞きます。でも自分たちは大満足でした。まぁ丹霞は天候によって見応えが上下するけど、南北アメリカ大陸やアフリカ、ヨーロッパのキリスト教文化、シルクロードのイスラム教文化を経て、久しぶりに見る莫高窟の仏教文化は、もう感動モノでした。兵馬俑もねぇ、山で言えばエベレストなわけですから。お墓界のエベレスト。見て損なわけないと思います。
中国、広し。西安の後は、成都へ行って西四川いわゆる東チベットを旅するんですが、そのあたりはまた別にまとめるとします。

皆で食べた大盤鶏。お腹一杯になります。

皆で食べた大盤鶏。でかい!お腹一杯になります。

これがピリ辛おでん。オススメは白いキクラゲ。コリコリした歯ごたえに、スープがしっかり絡んで、美味です。

カシュガルの屋台のピリ辛おでん。オススメは白いキクラゲ。コリコリした歯ごたえに、スープがしっかり絡んで、美味です。

鴨にラムの串焼き、これが安くて美味でした。

鴨にラムの串焼き、これが安くてボリュームがあって、美味でした。

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