2日目 スィク教と印パ国境

スィク教の大本山ゴールデンテンプルを大満喫中の世界一周婦人と俺。宿もタダ、食事もタダ。もはやここは、住めるレベルを通り越して、死ねるレベル。

タダ、と書き連ねておいて何なんですが、正確にはドネーション(寄付)制です。だから、泊まれて当たり前、食べれて当たり前、という訳ではない。でも、『こんだけ世話になったらこんだけ払うべき』みたいな暗黙のルールもないし、『さーいくら寄付すんの?まさかちょびっとなわけないよね?』みたいなプレッシャーもない。スィク教からの施しと巡礼者からの寄付は、サービスと対価ではない、全く別次元のものなんだろう。本来的にはそーだわな、施しと寄付って、一方的なもん。

ケチな我々もさすがにいくらか寄付したわけですが、『絶対に一銭も払いたくない!』というドケチにも朗報。感謝の気持ちは、お金ではなく奉仕として表すことも出来ます。

ゴールデンテンプルの警備や清掃、巡礼者の食事の準備や皿洗いなど、数多くの分野でたくさんの信徒の方々が、運営に携わってらっしゃいます。 おそらく、我々一般巡礼者が接する機会のあるスタッフは、だいたいみんな無償で奉仕活動されてる信徒の方々…すごい!で、言語、知識、専門技術などに支障のない限り、外国人だろうが異教徒だろうが仕事を手伝わせてくれる。

我々は、ニンニクの皮むきを奉仕としてお手伝いしました。ボランティア登録とか保険の加入とか、一切必要ありません。皮むきしてる人の群れの中に飛び込むだけ。あとは、黙々と作業に没頭する。外国人だからといってちやほやされたりもない。

これ、イイなって思う。

まずは施しを受ける。それに対する感謝の気持ちを、それぞれの形で表現する。実にシンプルで、宗教と個人のつながりとしてのあるべき姿だと思う。

また信徒の修行としても秀逸なんじゃないか?お経を何万回と唱えることで得られる悟りもあるんだろうけど、端から見てると『それ、なんの意味があるの?』という風にしか見えない。ニンニクの皮むき、という単純作業に没頭することで、自分の世界に思いを巡らすこともできる、いわば座禅を組んで瞑想するのと同じ効能があるし、もちろん自分の剥いたニンニクがのちに食事となるわけだから、行為自体の意義も実感できる。

アムリトサルでは、ほとんど物乞いを見かけない。それは、こういう施しと奉仕のバランスが取れてるからなんじゃないかな?一方的に施すだけでは、貧しさをなくすことはできない、むしろ甘えや怠惰を招いて、より貧しい心を生んでしまうのかも。単純なギブアンドテイクではない、一体感のある能動的な作業で、施し施される。素晴らしいなと思う。

スィク教がこれだけの宗教に発展するまで、かなりの紆余曲折があったらしい。スィク教ミュージアムに行くと、かつての指導者や信徒達が受けたという拷問や迫害の絵画が数多く展示されている。生きたままノコギリで真っ二つにされたり、ローラーでぺしゃんこにされたり、レンガの中に生き埋めにされたり。残酷で惨たらしい悲劇。まぁ、イスラム教のジハードを思わせる苛烈さがマハトマガンジー的なアプローチで具現化されたようで、興味深くもあるけど。

あと有名なのが、20世紀に入ってからの、イギリス軍による虐殺。簡単に言えば、独立を求めて公園に集結したスィク教徒の一般市民に対して、イギリス軍が発砲し、多くの犠牲者を出したとのこと。やー、20世紀前半のイギリスって、ホントにとんでもない国だと思う。ともかく、その虐殺の現場となった公園に行くと、弾痕が残った壁や、逃げ惑う人々が飛び込み溺れ死んだという井戸が保存されている。現在の公園はとても静かで長閑だから、ここに銃声が響き渡る地獄絵図のような風景が広がっていたなんて、容易には想像できない。悲惨な歴史を歩んできたからこそ、人に優しくできるのかも。

と、今日の日記は日記の体を保てていない。色々と書きたいことが多すぎて。要はミュージアム行ったり公園行ったりしたってことです。

あと書いときたいって思ったことは、ゴールデンテンプル内ではイラン並みにみんなから記念撮影をせがまれること。やはりイスラム教の影響がそうさせるんだろうか?それと、スィク教では肉を食ってもいいらしい。こりゃいい!改宗してもなんとかやっていける。そして婦人が一番喜んでいたのは、スィク教徒はタバコを吸わないということ。インドは特に噛みタバコの習慣があるので、どこの街も吐き捨てられた噛みタバコの赤くてベチャベチャした跡が不潔極まりないんだけど、アムリトサルにはそれがない。知れば知るほど好きになるぜ、スィク教!

で、14時になってゴールデンテンプルを出て、乗り合いタクシーを捕まえる。目指すはアムリトサルから30キロほど西にあるパキスタンとの国境。

パキスタンを目指す、わけではない。なんでもここの国境は、国境降納の儀式がやたらと派手にショーアップされてて、観客席まであり、応援合戦みたいになってて面白いらしい。

国境まではおよそ2時間。めっちゃたくさんの人が見に来ている。主な観客はもちろんインド人。

2度3度とボディチェックを繰り返し、ようやく観客席にたどりつく。我々のような外国人はVIPとして席が確保されているんだけど、インド人は席から溢れてしまっている人もいた。

会場は、スピーカーから爆音で音楽が流れ、若いインド人の女の子なんかは、観客席から飛び出して踊り狂っている。どうやらパキスタン側でも同じ感じらしい。国境というよりは野外レイヴ会場。

プロか?それともボランティアか?応援指導のおっさんもいる。『俺が手を挙げたら大声を出すんだぞ、せーの!』で、『ワー』みたいな。

平和だ。これまで多くの国境を越えてきたけど、これほど平和な国境は見たことない。

たぶん、インドとパキスタンは国境問題を抱えているので、自国民の愛国心を煽り、他国に対する敵対心を煽ってるつもりなんだろう。しかしよくよく見ると、両国の国境警備の兵士の衣装が色違いなだけで同じデザイン、ニワトリのトサカのような帽子を被っている。で、相手を挑発したり威嚇したりする動きも一緒。というか、こんなセレモニー、打ち合わせなしにできるとも思えないし。

インドとパキスタンという国が争い、強引に、非平和的に、ここを国境と定めたのは事実だろう。しかしその国境を挟んで住む人々は、むしろ同民族、親戚だったりするんじゃないだろうか?で、互いに示し合わせてこんなことやってる。愛国心と敵対心を煽ることで地元に観光産業をもたらした、ということなのかも。 まー確証なんかないけどね。ともかく、この国境は永遠にこんな感じであるのがいーんでないだろーか。

私達が黄金寺院をうろうろしていると、一人の紳士が声をかけてくれました。『食事を作っているところ、見てみたいかい??』はい、是非!

私達が黄金寺院をうろうろしていると、一人の紳士が声をかけてくれました。『食事を作っているところ、見てみたいかい??』はい、是非!

直径1メートルはあろうかという大きな鍋。

直径1メートルはあろうかという巨大な鍋が三つ。巨大なのもそのはず、紳士曰くこの黄金寺院が提供するのは一日なんと10万食。ここ黄金寺院で全て手作りされているのです。

人手だけでは追いつかず、現在はチャパティ用の機械が導入され、1時間に多いときで1万枚作られるそう。

人手だけでは追いつかず、現在はチャパティ用の機械が導入され、1時間に多いときで1万枚作られるそう。

カレーに使うお野菜は?勿論黄金寺院内にて洗って、皮をむいて、切られています。全て信者の人達がボランティアとして奉仕しているのです。

カレーに使うお野菜は?勿論黄金寺院内にて洗って、皮をむいて、切られています。全て信者の人達がボランティアとして奉仕しているのです。

食事に使ったお皿も全て手洗い。まずは残飯をふるい落として、

食事に使ったお皿も全て手洗い。食事が終わり、お皿を持って、係員の人に渡すと、まずは残飯をふるい落として、

まず水で洗い流し、次に洗剤を使って洗い、最後にお湯を使って洗い流すそうです。見ていると気持ちのいいくらいのテキパキした流れ作業、人から人の手にお皿が渡り、時折お皿がカラーンカラーンと鳴ります。

まず水で洗い流し、次に洗剤を使って洗い、最後にお湯を使って洗い流すそうです。見ていると気持ちのいいくらいのテキパキした流れ作業、人から人の手にお皿が渡り、時折お皿がカラーンカラーンと鳴ります。説明してくれた紳士は心から誇らしそう。なんだかいいなぁ。舞台裏を見せて下さり、ありがとうございます!

ということで、私達もガーリックの皮をむきを手伝うことに。子供達も親を真似て手伝います。作業場所には本堂内で奏でられる音楽とお経が常に流れています。

ということで、私達もガーリックの皮をむきを手伝うことに。子供達も親を真似て手伝います。作業場所には本堂内で奏でられる音楽とお経が常に流れています。

インド、ネパールの国境へ。冬休みだからか家族連れ多数で大にぎわい。頬にペイントするくらいの気合いの入りよう。

インド、ネパールの国境へ国旗降納式を見に。冬休みだからか家族連れ多数で大にぎわい。頬にペイントするくらいの気合いの入りよう。

俺が手を挙げたら、『うおー!』

『俺が手を挙げたら』『ワーー!』

盛り上がり過ぎて、観客席から降りて、踊りはじめちゃう愉快なインドの人々。

盛り上がり過ぎて、観客席から降りて、踊りはじめちゃう愉快なインドの人々。

衣装も、足を高くあげて歩く姿も、これはショー!

両国揃いのハリセンみたいな帽子、手足を高くあげて歩く姿、歓声を上げるネパールとインドの人々。滑稽で、平和な国境の風景。

国旗降納自体はシンプルでした。

国旗降納自体はシンプルでした。

 

 

 

 

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