旨酒備忘録12 仏教源流編

ご当地のお酒から旅の思い出を振り返る『旨酒備忘録』。第12回は、我々の旅の最終盤となった中国(成都以降)、ネパール、インドを振り返ります。

中国(成都以降)
前編で、カシュガルから西安までを振り返った時も書いたんですが、意外なくらいに中国人はお酒を飲まないんです。これも文化大革命の影響?お酒と中華料理なんて、ダッドリーボーイズ的ベストタッグなのに。もしくは、四川という地域では、もともとお酒をあまり飲まないのかな?中国、広し。白酒とか老酒とか紹興酒ってのは、北京とか上海とかのものなのかも。

ただ、めっちゃ寒い時期だったから飲まなかった、ということはあると思います。東チベットなんて、流れる川が凍るくらい寒かったですからね。限られたチャンスで飲んだお酒は、雪花というブランドのビールくらい。名前からして寒ざむしい!夏だったらいいんでしょうけどね。

中国旅で一番素晴らしかったのは、もちろんラルンガルゴンパでラマ(チベット仏教の高僧)とお会いする機会を持てたことです。お会いするに至る過程も、ちょっと運命的だったし。我々を連れて行ってくれた尼僧のインプーとインファンには感謝しきりです。

自分たちが世界各地で見てきた『文化』って、それぞれの宗教から影響を受けて形成されてきたもの。宗教の違いが人々に及ぼす影響って、とても大きい。着る服や食べるもの、建築や美術品、生活サイクル、など。自分はどの宗教も信じてない、無宗教だ、と思っている人でさえ、多かれ少なかれ宗教の影響を受けています。『私は別にイスラム教信者じゃないわよ。』なんてイラン人女性でも、やっぱり頭にはスカーフを巻くんです。

我々はそんな、宗教の違いからくる文化の違いを楽しみながら旅したんですが、じゃあ、宗教の目的って何?存在意義は?

我々が旅した期間は、宗教問題と切っても切り離せないイスラム国やシリア難民などの問題が深刻化していく時期と、ちょうど重なっていました。世界各地で、テロが報復戦争を、報復戦争が新たなテロを生む、止むことのない憎しみの連鎖が渦巻く。そんな中、自分は一体どうすればいいのだろうか?自分一人で出来ることなんてほとんど思いつかない。だからといって、他人事と割り切り、見て見ぬふりをしてればいいのか?夫婦で気楽に世界一周旅行しているけど、同じ時、同じ地球の上で誰かが、銃で撃たれ、お腹を空かせて死んでいく。自分が無力すぎて情けなく感じることもありました。

なので思いきって、ラマに聞いてみることにしました。世界が平和になるために、自分たちはどうすればいいのだろうか、と。するとラマからは『美しい心を持ちなさい』という答えが返ってきました。なるほど、『美しい心』。とてもシンプルだけど簡単ではない。むしろ何をどうすればいいのか分からないくらい。でも、確かにみんながそういう気持ちで生きていれば少しずつでも世界が平和になるんじゃないか?そう思わせられる答えでした。

『美しい心』ってなんだろうか?旅の最終盤にして、これからどういう風に生きていけばいいのか、テーマを授かったような気がしました。

中国のビールと一緒に頂くのは、、

中国列車の旅。ビールと一緒に頂くのは、、

中国人の旅のお供の定番、ヒマワリの種。前歯で種を割って中身を食べるのですが、イランで食べたシンプルな塩味よりも味わいが深くて、嵌まります。列車内の二人に一人はヒマワリの種。列車が着く頃には床にはヒマワリの種カスの山。食べすぎると、前歯にスリットが入るのだとか。

中国人の旅のお供の定番、ヒマワリの種。前歯で種を割って中身を食べるのですが、イランで食べたシンプルな塩味よりも味わいが深くて、嵌まります。日本にも輸出したらいいのに!

 
ネパール
と、話が真面目な方向に偏ってしまったんですが、お酒の話に戻ります。

ネパールは、とてもお酒の種類が豊富です。滞在中のほとんどをエベレスト街道トレッキングに費やしたので、落ち着いてお酒を呑み比べることはできなかったんですが、スーパーに並んだビールを見比べ品定めするだけでも楽しかった。自分たちはクンブラガー?シェルパ族が作ってる?というビールを飲みました。近所の食堂で買ってきたモモ(チベット風のギョウザ)を食べながらコイツをあおる…最高でした。

ちょっと意外なお酒としてはラム。ネパールではラムを生産してるみたいなんです。トレッキング中にオーストラリア人からラムコークを飲ましてもらったんですが、けっこうイケる。心の中でこのカクテルを『ネパリブレ』と呼ぶことに決めました。また、そのラムが気に入ったので、カトマンズに帰ってきてから、シナモンの香りづけをしたスパイスラムを買い、チャイに入れて飲んだりもしました。温まったなー。

一番面白かったのは、ナムチェで飲んだシンハ、ホプレ、あとルクラで飲んだトゥンバ。シェルパ族の地酒です。

シンハはお米で作ったお酒で、ぬる燗くらいに温めて飲みます。ホプレはそれに卵を落としたもの。ああ、エッグノッグみたいな感じね?と思うかもしれませんが、違います。卵はスクランブルエッグ状に固まっていて、卵スープみたいな感じです。自分の予想とはだいぶ違ったのでびっくりしましたが、確かにこういうお酒ってのがあってもおかしくないですよね。トゥンバは、発酵させたヒエ。ヒエそのものがバケツに入って出てきます。それにお湯を注ぎ、じんわりお酒成分を煮出し、先が細まったストローから濾しとるようにして吸い込み飲みます。自分はこういうお酒は初めてだったんですが、米だとラオスとかでもあるそうです。原始的な感じで面白かったです。

お酒を飲めるってのは、ネパールの良いところの一つな気がします。ネパールはインドとセットで旅する人が多いと思うんですが、インドではほとんどお酒を飲めないので。

それに、ネパール人は料理が上手で、どこのレストランも美味しいのが良いですね。バックパッカーが集まる国だから色んな国の料理を食べれるんですが、本国のものにも劣らないクオリティの料理が出てきます。もちろんネパール価格で。たぶんネパールの人は、オリジナルを忠実に再現するのが上手いんだと思います。仏画やマンダラもすごく上手だし。自分たちの舌の好みに合わせてアレンジしたり、肝心なポイントを省略したりしないから、『カリフォルニアのショッピングモールのフードコートの寿司屋』『中国人がやってる日本食レストラン』みたいにならないんだと思います。絆のカツ丼、美味かったなー。

山旅中心で世界一周した我々にとっても最大級のイベントであったエベレスト街道トレッキング、天気にも恵まれ支障なく高度順応でき、チョラパス越えも含めて14日でカトマンズまで戻ってくることができました。世界一高い場所、やっぱ憧れますね。行ってみたい。またネパールに再訪するんだったら、次回はぜひアンナプルナに行きたいですね。日本の里山みたいな棚田があったり、温泉があったり、変化に富んでて楽しそう。あと、チトワンで象サファリとかもしたいです。

気に入った近くのカフェのベジモモを40個大人買いして、ビールと一緒に頂く、最高です。ビールの

気に入った近くのカフェのベジモモを40個大人買いして、ビールと一緒に頂く、最高です。

不思議なお酒、ポ。シェルパ伝統のお酒なのだそう。

不思議なお酒、ホプレ。シェルパ伝統のお酒なのだそう。

こちらがトンバ。こちらに暖かいお湯を注いで飲むのですが、1リットルくらい飲んでもアルコールが薄まりません。2人には多かったです。4人くらいで回しのみすると調度よく、そして楽しそう。それにしてもこの容器‥トイレにおいてあるお尻を流す用のバケツにそっくり‥ってかそれそのもの。他に容器なかったんかしら‥

こちらがトゥンバ。こちらに暖かいお湯を注いで飲むのですが、1リットルくらい飲んでもアルコールが薄まりません。2人には多かったです。4人くらいで回しのみすると調度よく、そして楽しそう。それにしてもこの容器‥トイレにおいてあるお尻を流す用のバケツにそっくり‥ってかそれそのもの。他に容器なかったんかしら‥

インド
南米やアフリカという未知なる大地から、キリスト教圏のヨーロッパ、イスラム教圏のシルクロードを経て、仏教(主にチベット仏教)圏の中国、ネパール、そして仏教興隆の土台でもあるヒンドゥー教、その他多くの宗教が共存する国インド。自分の無意識のうちに秘められたルーツを探って深い海へと潜って行く。そんな旅を締めくくるのにふさわしいシナリオになったことに満足しています。

カルト、迷信、排他的な過激派原理主義。そういった宗教には興味ありません。政治経済と結びついて社会システムと化した宗教も。やー、金の亡者と化した坊さんほど情けないものはありません。

しかし、チベット仏教やヨガのように、哲学的というよりむしろ実践的に、自分の心にアプローチしていく宗教には、深い関心を覚えました。欧米的な科学的根拠に裏付けされていることだけが真実ではないんですね。20世紀になってフロイトやユングが発見したとされる問題は、ヒマラヤではとっくに解決済みだった、驚きです。ラマとの出会いやヨガ修行を通して、些細なことではありますが、シンクロニシティとかそういうことがよく起こる、というか、そうゆうことによく気づく自分になりました。

インドの素晴らしさを一言で言い表せば、『寛容』ということだと思います。日本人的視点からすれば、インドは『いい加減』だったり『無秩序』に映ってしまうから、インドのことが大嫌いになる人もいるんでしょうけど、自分はむしろ、日本人はインドの寛容性、大らかさ、ゆとりから学ぶべきものが多いと思います。まあ、インドの寛容性を手放しに崇拝、盲信するわけじゃありませんけどね。でも、列車の6人席に12人座ってたって、誰も死にやしないんだから!

そんなインドの寛容性は、こと宗教に関して世界中の人々、各国政府も見習うべきと思います。もちろんインドでも、長い歴史の中で宗教を火種とする争いが数多く起こったようだし、現在進行形の紛争もあるんだろう。でも今のところ、少なくとも自分の目に見えた限り、色んな宗教と信者は、互いに互いの神、文化、習慣を尊重しあっているよう。特にヒンドゥ教徒の人々は他宗教の神(仏)を崇めることにも熱心らしく、当たり前のようにチベット寺でマニ車を回したり、スィク教のゴールデンテンプルで沐浴したり、タージマハルでセルフィ撮ったりしてた。

でもそれって、日本人にも言えることだと思う。キリストの誕生日であるクリスマスを祝い、除夜の鐘を突きにお寺へ行って、その足で神社に初詣に行くのと大差ない。

そんな我々日本人を『無宗教』だと自認する人は多いけれど、果たしてそうか?自分はむしろ、『ゼロ=無限』つまりインド人と同じく『全宗教』なんじゃないかと思う。ヒンドゥ教にある『他宗教の神はヒンドゥの神が形を変えたもの』という考え方と、日本の神仏習合の考え方はよく似てるし。

日本人は、そろそろ『欧米列強社会こそ一流』という概念を見直すべき時でしょうね。そして中国やインドという素晴らしいアジアの先達に、再びスポットライトを当てて学び直すべき時ではないでしょうか。

と、また真面目な話に偏ってしまった。お酒の話に戻ります。

インドって、基本的に飲酒はあまり歓迎されることじゃないんですよね。ヒンドゥ教は健康志向とかナチュラル志向が強いし、イスラム教はそもそも飲酒禁止だし。まぁ違法とかそんなんじゃないんですけどね、道徳的ではないものという感じです。

だから酒屋さん自体が、あーんまり大々的に営業してないんです。特に寒い寒い北部にいる時は見かけることすらなかったし、暑くて汗ダラダラの南部でも、エッチなビデオ屋さんみたいな雰囲気で、なかなか見つからない上に近寄り難かったです。

しかし、ゴア。さすがはヒッピーの聖地です。ここだけは唯一、酒屋が大っぴらに営業してて、買ったビールをその場で開けて飲む、なんてことも可能でした。

インドのお酒と言えば、キングフィッシャー銘柄のビールが一強です。婦人のご両親と再会を祝って乾杯したのもこれ。ただ、同じキングフィッシャーでも、ピルスナーとかラガーとか、プレミアムとかストロングとか、シリーズが色々あって面白かったです。でも、高級志向のシリーズ『ウルトラ』と『ウルトラマックス』はいただけませんね。飲み比べたら、味の違いは分かるけど、それが値段の違いにつながるべきものなのか、よく分かりません。むしろ、高級感が完全にデフレを起こしていると言えます。まるで1から4へと進化を遂げる超サイヤ人のよう。次は『アルティメット』『アルティメットマックス』とか、よく分からない理由でシリーズが増殖、高級化しそうで不安です。

ちなみに地ビールもあります。サルのマークが可愛いデリーの地ビールなんかもありました。我々が飲んだのは、『キングス』という名のゴアの地ビール。とろっと感があるのにスッキリしてて美味しかったです。あ、まー久しぶりに、暑い中、冷たいビールを飲んだから、美味しかったんですけどね。味わいの描写には正確性を欠きます。

でも、こんなに暑い国で、歴史の長い国で、お酒はビールしかない?ちょっと不思議に思ったので調べてみたら、めちゃめちゃ興味深い事実がたくさん出てきました。なんか、牛のオシッコで作るお酒とか?都市伝説のレベルです。あと密造酒で100人死亡とか!もう災害クラスですね、確かに飲酒なんてしないほうがマシだと納得させられます。

自分なりに調べてみた情報をまとめたところ、おそらくインドにはかつて豊富な種類のお酒があったものと思われます。時代が進むにつれてお酒文化は宗教による圧迫から表社会から姿を消すものの、裏社会では脈々と受け継がれ、今もひっそりと、しかし確実に残っている。そんな感じだと思います。

で、ですね。

手に入ったんです。インドの伝統的な地酒が!

『フェニー』というゴアの地酒で、ココナッツやカシューナッツのフレイヴァがつけてあるようです。ん?もしかしてココナッツやカシューナッツから作るのか?詳しくわかりませんが。

ちなみにフェニー、旅の途中ではまだ飲んでません。お土産として持って帰り、日本で飲むつもりです。やー楽しみ。どんなお酒だったか?直接会って、お話して差し上げますよ!

あっさり再会した後、冷え冷えのビールで祝福!私達はネパール以来。父達もインドでは初めて。この味、喉ごし、たまりません。

インドで初ビール!私達はネパール以来。父達もインドでは初めて。この味、喉ごし、たまりません。

ゴア1本目は一番安いゴアのビール、KINGS。南国らしい爽やかさ。

ゴア1本目は一番安いゴアのビール、KINGS。南国らしい爽やかさ。

キングフィッシャーウルトラマックス。味はオリジナルの方が美味しかったです。

キングフィッシャーウルトラマックス。味はオリジナルの方が美味しかったです。

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