日本〜エピローグ〜

クアラルンプールの空港で、16時間のトランジットをやり過ごす世界一周婦人と俺。

ここの空港は非常に過ごしやすい。広々としていて、WiFiも快調。おまけにムービールームとかスポーツ観戦ルームなんかもあって、我々のような長時間滞在客も大歓迎といった感じ。

フードコートで日記とかあげながら気持ちよくダラダラしてると、あれ?向こうから見たことあるカップルが…。なんと、たまたま我々と同じスケジュールでパロレム(ゴアのビーチリゾート)、コーチンと旅をしていた韓国人のカップルじゃないの!3度目の再会で、お互いさすがにビックリ。曰く、本来搭乗する予定だった飛行機に乗り損ねてしまって、クアラルンプールに取り残されてしまったらしい。なんか、最後までバックパッカーチックな出会いに恵まれて感謝の気持ち。

そして迎えた朝。

無事に飛行機に乗り込み、日本に出発。そーいや旅の始まりは、バゲージロストからだったなぁ。まさか締めくくりもロストバゲージ…なんて、心のどこかで期待している。

1年5カ月、色んな場所に行って色んな人に出会った。楽しいことだけじゃなく辛いこともあったし、夫婦で喧嘩もしたけど、どれもいい思い出。2人じゃなきゃ1年5ヶ月でこれだけたくさんの場所には行けなかっただろうし、満足している。

日記もこれだけよく書いたもんだ、と自分で自分をちょっとだけ褒めたい。バックパッカーのパイオニアであるマルコポーロ、旅ブロガーのパイオニアである紀貫之も、こんな自分を褒めてくれるだろうか?数日分を一記事にまとめたこともあったけど、お酒のこととか料理のこととか個別に書いて、結局は1日1記事もしくはそれ以上の頻度で何かしらを投稿してきた。

読んでくれていた方にはちょっと驚きの事実だと思うんですけど、自分の日記は全部、iPhone5のちっちゃな画面で書いてるんです。キーボードもフリック入力って言うんですか?十字に指を動かしてアイウエオを選択する、アレです。世間に対する影響力とか話題性は限られてましたけど、この忍耐力、継続力、集中力を以って、文の豪者つまり『文豪』を自称しても差し障りないですかね?や、さすがに無理があるかな。

最初は、コダワリの美しい写真に叙情詩的、散文詩的な文章を添えるだけ、というつもりだったんですけど、結局、だいぶ克明な日記になってしまいました。これでもまだまだ、『あ、アレのこと書き損じてしまってる!』みたいなことすらあるんです。例えばインドのトイレには紙がついてないから手でお尻を拭くんですが、そんなこと日記に書くヒマもありませんでした。まー既に誰もが知ってることですしね、自分たちは特にイランあたりからずっとこのスタイルなんで慣れてしまって、なんなら日本でも、もはや紙は使わなくても…なんて程度だから。話がそれましたがとにかく、今はクドいくらいディテールにこだわって書いて、正解だったと思ってます。将来的に読み返すのが楽しみです。

読んでいただいた方々には、なんというか頭が上がりません。基本的には自分が読み返す用で、ぼんやり思ったことをまとまりなく書き連ねるだけ、統計的な情報とか事実にはとことん不正確、自分の登った山の標高とかもあんまり記録してないし、ときには国立公園の名前まで間違えてたり。もちろん、遺跡の年代とかもテキトーです。その度に『おそらく1000年前くらいの〜』とか『法隆寺より古いと思われる〜』みたいな表現だから、回りくどい、なんだか腑抜けた腰の弱い文章になってしまいました。我ながら情けねーなーと思いつつ。

言い訳ですけど、あんまり事前情報を詰め込みすぎたくなかったんですよね。入試じゃないんだから、ボンヤリとしたイメージだけ頭に入れておき、疑問を感じたり感動したりするための余白を、頭の中に残しておきたかったんです。

それに自分の日記を、グーグルの検索結果を貼り付けるだけ、ウィキペディアを転載するだけみたいなサイトにしたくなかったんです。あくまで、自分の感じたことを自分の言葉で書きたかったから。正確な情報は、そのためのエッセンスに過ぎない、というスタンスで書いてました。

結果、『〇〇すべき5つの理由』とか『世界の〇〇まとめ』みたいな、今のブログとかホームページの流行りに対して、徹底的に逆行したものが出来上がったんですが、自分としては大満足なんです。出版のオファーが来れば、その時に書き直すしかないでしょう。まーそんなオファー来てないけど。

その代わり『この美しさは表現できない』とか『この感動を言葉にすると価値が薄れてしまいそう』とか『だから写真でどうぞ』みたいなのは徹底的に排除したつもりです…ありましたっけ?ないはずです。あれって禁じ手ですよね。言葉のカンフル剤、というかドラッグみたいなもんです。一度使ったら終わり、永遠に使い続けなければならなくなる。興ざめです。おかげで美しい風景に対して安っぽい文章をつけてしまったかもしれません。でも、そういった批判であれば甘んじて、いや喜んで受けますのでご指摘ください。

『コダワリの美しい写真に詩的な文章を添えるだけ』という初志を貫徹できなかったもう一つの理由が、写真です。特に初期の写真は、日本に帰って見返した時に、ヘッタクソやなーって思うんでしょうね。グァテマラでタフムルコに登る前くらいまでは、日々葛藤してました。良い写真の基準ってのが、自分の中になくって、どうやって撮れば良い写真になるのかわからなくって、カメラを構えるのすら億劫なこともあったくらいでした。

しかし旅が進むにつれて、写真の良し悪しが少しずつ分かるようになってきました。シチュエーションごとに、写真の定石みたいなものも分かるようになってきたし。おかげでようやく月並み調には撮れるようになったと思います。で、ようやく自分の目指す作風みたいなのも見えてきた気がするので、カメラはこれからも頑張りたいなぁ。

文章も写真も、表現すること。旅することも、今こうやって生きていることも、何かしらの表現と言えるかもしれません。

『なんで旅に出たのか?』ってよく聞かれます。しかし、今でもわかりやすい説明は出来ないんです。

4つ年下の嫁さんもらって、地元の市役所で公務員やって、団地に住んで、カローラ乗って、週末はボーイスカウト。均整がとれて安定した、なんの不自由もない、それどころか人並みよりもだいぶ幸せな生活だったと思います。美術学校で使っている絵画のお手本みたいっていうかね。

でも、なんか違うなって思っちゃった。宮廷画家の集まる品評会で金賞取るような絵より、アンリルソーみたいな絵が好きなんですよね。自由で何にも縛られないのに、デタラメではく独特の法則があるって感じがね。

だから、描き直すことにしたんです。嫁さん以外の部分は全部白塗りして。

此の期に及んで白塗りにして、これからどんな人生を描くのか?そりゃもう旅してる間ずーっと不安でしたよ。いっそ白じゃなくて黒く塗り潰した方が良かったんじやないの?ってくらいに。でも、旅するうちに少しずつ見えてきました。

まずは、自分の心を美しく保つ。欲望とか執着心に振り回されず、柔軟で寛容、自由なんだけど規律のある日々を送りたいと思います。仏教やヨガから学んだことですね。

しかし、何が美しくて、何が美しくないかって、見極めるのが難しい。例えば遠くから見ればとても美しい山がゴミだらけだったり、透き通った泉が農薬や家畜の糞尿で汚染されていたり。逆に家畜と物乞いの溢れるカオスな市場からすごいエネルギーをもらうこともある。この旅で、何が美しいか(あるいは何がパワーを持っているか)を見極める審美眼はかなり磨いたつもりだけど、やっぱり引き続きトレーニングする必要があると思います。

で、自分なりに思う美しさを、人に伝えたり広めていきたいなって思います。それはこの旅、この日記のテーマでもあったんだけど、今後はより沢山の人に、より積極的に行動したいですね。それも、一生に一度行けるかどうかの絶景を見に行くとかそんなことだけじゃなく、何気ない生活の中の一挙手一投足の美しさとか、普段は見落とされがちな美しい文化風習とか、そんなことにも気づいて発信して行けたらなって思っています。

ということで、やっぱり旅したいし、旅する人に出会いたい。そして、文章を書いたり、写真を撮ったりし続けたいんですよね。

帰国後、具体的に決まっていることは、とりあえず日本国内も地獄谷温泉とか白川郷とか、外国人に人気の場所に行ってみたいと思います。日本人として日本を旅するんじゃなく、例えば自分たちが色んな国を巡ったのと同じ気持ちで、祖国を巡ってみたい。

で、その後3月初日から5月末まで、京都の宿にて住み込みで働きます。働くっても無収入ですがね。簡単な労働と引き換えに、無料で宿泊させてもらえる、という。春の京都、楽しみやなー!

でね。

宿をね。

オープンしたいと思ってるんですよ。具体的な場所とか時期とかまだまだ未定ですが。京都かも知れないし、奈良かも知れないし、ぜんぜん違う場所かも知れない。まー国内ですかね、さすがに。その経緯とかも、どういう形でか発信していきたいなって思います。

あ。

やべぇ、のど乾いた。

今回利用した格安航空会社アジアンエアーは、機内食どころか水すら有料。

搭乗する前は、『まーさすがにケチケチしないで水くらい買おう。』という話をしてた。しかし、機内販売が始まって聞いてみると、水自体の値段はともかく、カードは使用不可で現金のみ、米ドルやら日本円も使えるけど、おつりはリンギット(マレーシア通貨)のみ。で、自分たちの財布に入っているのは、旅の開始当初から保険で持っている一万円札が一枚のみ。

おいおい、いくら機内で買う水が高くたって1000円もしない。てことは今から不要になる(というか必要になったこともない)リンギットが9000円分も返ってくる?そんなの、水が10000円するのと同じことじゃないか!

こうなったら意地でも我慢。喉の渇きで意識が遠のき、まるで関空が蜃気楼のように感じてくるところ、『もうちょっと、もうちょっとで日本だから!』夫婦で互いに励まし合いながら、なんとか耐えきる。

そして、ついに、ようやく到着。

日本って変わってる!ベルトコンベアを流れるチェックインラゲッジは、まるで独裁国家の軍人のパレードのように規則正しく並んでいる(残念ながらロストバゲッジはなし)。タクシーの運ちゃんとか客引きは全くない。屋台もない。浮浪者や野良犬もいない。行き交う車はブーブークラクションを鳴らさない、そのくせやたらと信号は多い。野良牛なんて気配すらない。こんな国、他にはなかった!

ということで、無事に帰国、帰宅しました。世界一周の日記は、これで完結です。ご愛読ありがとうございました。

日記としては終わりですが、『旅のまとめ編』を、ちょっとだけ更新するつもりです。 五百数十件もある日記、自分たちでもそう簡単に読み返してられないですし、これまで応援して下さった方々、あるいはこれから出会う方々に、これだけ読めば一通り我々の旅を知ってもらえる、という形にして残しておきたいので。ベスト盤みたいな感じですかね?コメントとか、大歓迎ですので!

ということで、帰国。広志郎の変わりようったらありません。

ということで、難無く帰国。

日本の味。きつねうどん。

日本の味。きつねうどん。染みます。

そして、おにぎり。日本米は透明がかっていて、キラキラして、甘くて、米だけでも本当に美味しいです。

そして、おにぎり。日本米は透明がかっていて、キラキラして、甘くて‥おかずなし、米だけ食べても本当に美味しいです。

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